粉瘤の自然治癒と手術や自分で治す方法
粉瘤は別名アテロームとも呼ばれ、皮膚疾患としては良くあるできものです。
正式な医学名は「表皮嚢腫」と呼ばれ、良性の腫瘍です。
粉瘤の成分は垢やタンパク質が皮膚内で凝固した状態です。通常、皮膚に付いた垢(古い角質や皮脂)は自然に剥がれ落ちます。しかし、毛穴が詰まったり、傷で皮膚の表面が中に入ったりすると、上手く排出されずに内側に蓄積することがあります。
細胞のタンパク質と垢が絡み合うと強固な接着が生まれて、粉瘤になっていきます。
最初の内はニキビのような小さな膨らみですが、一向に自然治癒や完治することはありません。痛みなどはありませんが、中心には核となる袋の部分があります。これが破れると独特の臭いが発生する場合があります。
粉瘤は顔や体に出来やすいですが頭皮も同様です。毛穴が密集しているため、詰まりやすく稀に発生することもあります。頭皮にできる粉瘤を「外毛根鞘腫」といいます。
また、細菌などが入り込み炎症を引き起こすと、赤く腫れ上がってきます。また、痛みも強くなります。
この状態を炎症性粉瘤(化膿性粉瘤)と呼びます。こうなると症状がこじれて治すのに時間が掛かるため注意が必要です。
粉瘤の症状
粉瘤(アテローム)は初期段階において、僅かな膨らみができてきます。ニキビや盛り上がったホクロのような状態です。この時期に除去できれば傷も殆ど残らないのですが、大多数の人は放置してしまいます。
月日が経つごとにタンパク質や垢を巻き込んで、患部も徐々に大きくなっていきます。
上手く自然治癒できれば良いのですが、大きくなると可能性は殆どありません。人は日々新陳代謝や細胞分裂を行っているため、皮膚と粉瘤が強固にくっついて更に成長していきます。最初は数mm程度でも状態によっては数cm以上になることもあるので、いかに早く医療機関に診察に行けるかもポイントになります。
なお、患部の状態によっては途中で穴が開いて粉瘤が剥がれ落ちることもあります。こうなれば、黒い塊となり、その状態を維持し続けることもあります。
しかし、大多数は大きくなるため、早めの治療を開始しましょう。
粉瘤と似た病気
粉瘤と間違えやすい病気に尋常性疣贅(いぼ)があります。同様に盛り上がっていていますが、いぼは患部が固く、袋のようなものはありません。
いぼは周辺に複数できやすい傾向があり、治療には液体窒素が必要です。
また、粉瘤と間違われやすいのが脂肪細胞が増殖した「脂肪腫」です。脂肪の塊である単なる良性の腫瘍です。
その他にもホクロや角栓、ニキビと間違われることもあります。自分で判断が付かない場合は皮膚科や形成外科で診察を受けましょう。
粉瘤の治療
粉瘤(アテローム)は自然に治ることはないため、メスで切開する簡易的な手術が必要です。小さい粉瘤であれば、傷跡も殆ど目立ちません。逆に大きな粉瘤になると傷跡もある程度は覚悟するしかありません。
特に、粉瘤が顔にできた場合は僅かでも小さい内に医療機関へ行くようにしてください。顔に傷跡を残すことは避けるべきです。
なお、治療は皮膚科や形成外科、美容外科でできます。一番良いのが、形成外科も兼ね備えた皮膚科です。
粉瘤自体はありふれた皮膚疾患の1つですので、皮膚科医であれば診察や治療を行えるはずです。健康保険も適応されます。
なお、塗り薬や服用薬、レーザーによる治療方法はありません。メスで切開するか、特殊なパンチでくり抜きます。
自分で治す方法
インターネット上や民間療法として、自分で治す方法が紹介していることもありますが、大多数は悪化するため注意が必要です。
自分で粉瘤を潰すと細菌が入って炎症を起こしたり、更に大きくなります。例えば、粉瘤の中身をピンセットで押し出して、膨らみが除去出来たとします。しかし、核となる袋の部分が残れば効果は一時的です。根本から取り除かなければ、再び再発して老廃物が蓄積して、大きくなり始めます。
手術で除去
粉瘤を根絶するには切開による手術が必要です。粉瘤が小さい段階であれば、その場で手術してもらうことも可能です。もしくは、次回に予約を取り手術を受けることもあります。
手術といっても局所麻酔を少量使用して、小さく切開し、袋を摘出します。皮膚は針で縫う必要がありますので、1~2週間は抜糸に必要です。手術自体は10~30分程度と短時間です。
粉瘤で大切なことは2~3cm以内の内に手術ができるかです。小さい内であれば傷跡も殆ど残りませんし、手術も簡単です。しかし、大きくなり過ぎると局所麻酔では対処できなくなり、全身麻酔になるケースもあります。
人によっては医療機関に何年も行かずに、いよいよ我慢できずに治療を始める人もいます。結果的に次のような大きさになることもあります。
こうなると除去後にも目立つ傷になります。やはり、気付いた時には早く医療機関に通うことが大切です。
なお、感染を起こし炎症性粉瘤になった場合は直ぐに手術ができません。局所麻酔を注射して、皮膚表面を切開した後、一度内容物と膿を出します。
数週間~数ヶ月後に、炎症が引くの待ってから袋ごと取り除く手術をします。
粉瘤のまとめ
粉瘤(アテローム)は命に係わる病気ではないため、放置されがちです。結果的に大きくなってから手術を受けるケースも後を絶ちません。
一番注射して欲しいのが顔にできた粉瘤です。ある程度大きくなってから、切開すると傷跡も残ります。1部分でもクレーターのように凸凹状になれば本人にしてみればショックだと思います。背中に傷跡が残るならまだしも、顔に残れば生涯悩むことに繋がります。
もしも、粉瘤が顔にでき、ある程度の大きさになった場合は、切開せずに皮膚に小さな穴を空けて粉瘤をくり抜くような方法が最適です。患部が5mm以下であれば、殆ど傷跡は残りません。皮膚科や形成外科で「くり抜き法」「へそ抜き法」による除去が可能かどうか尋ねてください。
粉瘤が完治して、良くなることを願っています。