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涙点プラグの副作用とデメリットを知りドライアイを治療

涙点プラグの副作用とデメリットを解説

涙点プラグは点眼薬で効果が出ない重症のドライアイに使用する治療法です。

涙の通り道である「涙点」をシリコンプラグで塞ぐことにより、常時涙が溢れてドライアイが回復します。

涙点プラグは涙が少ないタイプのドライアイや涙が蒸発しやすいドライアイ、角膜上皮損傷、角膜びらんなど各種眼疾患に高い効果が期待できます。

最近は一般的な眼科でも良く行われています。ドライアイ治療の最終手段ともいえる涙点プラグですが、メリットもある反面、デメリットや副作用もあります。

主な副作用

  • 涙点の拡大や変形
  • 肉芽の形成
  • 白色塊の形成
  • 涙点迷入
  • アレルギー性結膜炎
  • 汚れの蓄積

このような副作用やリスクがあります。

涙点プラグの手術

涙点プラグを挿入する手順を解説します。

1.涙点プラグには主に3種類があります。

  • フレックスプラグ・・イーグルビジョン社製
  • スーパーフレックスプラグ・・イーグルビジョン社製
  • パンクタルプラグ・・FCI社製

それぞれのプラグには特徴があり、メリットとデメリットがあります。

初回であればスーパーフレックスプラグやフレックスを使用することが多いはずです。

2.涙点プラグを挿入する前に点眼麻酔を注します。

3.涙点の大きさを涙点ゲージで計ります。人によって大きさは異なりますので、計測値より+0.1mm大きいタイプを選びます。

涙点ゲージで涙点を計測する

涙点ゲージでの計測サイズ FF・SFF PP
0.3mm 0.4mm
0.4 0.5
0.5 0.6 SS
0.6 0.7 SS
0.7 0.8 S
0.8 0.9 M
0.9 1.0 M
1.0 1.1 M

*FF=フレックスプラグ、SFF=スーパーフレックスプラグ、PP=パンクタルプラグを意味します。

4.涙点プラグは基本的に上下両方に挿入します。上か下の片方に挿入しても、殆ど効果は無いので注意してください。

例えば、紙コップに小さな穴を2つ開けたとします。片方だけ閉じても水は流れ出します。これと同じ原理です。涙点を全て塞ぐことにより、眼内に涙が溜まり潤います。

全て塞がれば、常に涙が溢れて楽になります。人によっては涙が溢れて頬を伝うため困る人もいます。

しかし、不快で外したいと思う人はあまりいません。何故ならドライアイがとても良くなるためです。

費用や値段

涙点プラグには健康保険が適応されます。3割負担での料金は次のようになります。

  • 1本・・約3500円
  • 2本・・約5000円
  • 4本・・約8000円

*診察+涙点プラグの参考価格です。検査や点眼薬などにより変わります。あくまでも目安と考えてください。

副作用

涙点の拡大や涙点迷入について解説

ドライアイに高い効果のある涙点プラグですが、副作用や合併症もあり安易に使用すべきではありません。点眼薬で十分な効果が認められない場合に使用すべき治療法です。

涙点プラグにおける副作用を詳しく解説します。

涙点の拡大・変形

涙点プラグは挿入している内に涙点が拡大や変形していきます。

涙点が拡大するとプラグが脱落しやすく外れます。そして、一回り大きなプラグを挿入します。これを繰り返していると、最終的に合うサイズの涙点プラグが無くなります。

肉芽形成

涙点プラグを装着していると刺激になり、肉芽が形成されることがあります。

装着を外せば、肉芽は回復や消失することもあります。

肉芽で涙点が塞がれば、涙点プラグと同じような役割を果たします。そのため、涙点プラグをする必要はなくなります。

白色塊形成

装着している涙点プラグが白い塊に被われます。白い部分は細菌です

眼への感染にも繋がるので、涙点プラグを取り外すなどの処置が必要です。

涙点迷入

涙点迷入の状態

涙点に涙点プラグが潜り込む合併症です。多くの場合、挿入時に起こります。要するに誤って押し込み過ぎると涙点下の涙小管内に迷入します。

涙点迷入が発生した場合はプラグの蓋が見えているなら適切に処置すれば取り出せます。涙小管内の深い部分まで迷入すれば取り出すことは、構造的に不可能になります。

涙点プラグを雑に押し込むようなことをせず、注意して挿入することが大事です。

アレルギー性結膜炎

涙点を全て塞ぐと、涙も停滞しますがアレルギー物質も眼内に残留したままになります。

いつまでもアレルギー物質が希釈されないため、アレルギーが起きやすくなります。

対策としては、防腐剤が無添加の人工涙液を注して洗い流すことが効果的です。就寝前にも人工涙液できれいに洗い流しましょう。

防腐剤が入った他の点眼薬を使用する場合は必要最小限に留めてください。一日2回程度までに抑えます。点眼薬が必要な場合は医師の指示に従ってください。

感染症

涙点を全て塞ぐと涙の交換が行われずに汚れが蓄積します。感染症(細菌性結膜炎など)のリスクも上がります。

一日1回以上は防腐剤無添加の人工涙液(ソフトサンティアなど)で点眼を行い、汚れを洗い流してください。

装着の痛み

挿入する涙点プラグを適切に選択すれば、挿入時の違和感や痛みは殆どありません。

合わないプラグを挿入していると痛みが伴います。医師に相談して、取り外すか違うタイプの涙点プラグを選択してください。

涙点プラグの種類

涙点プラグは3種類あります。それぞれにメリットとデメリットがあります。どの涙点プラグも涙点を塞いで涙を溜める効果があります。自分にあった涙点プラグを医師と相談して決めます。

フレックスプラグ

フレックスプラグでドライアイを治療

フレックスプラグは脱落しやすいのが特徴です。しかし、肉芽が起きにくく、その他の副作用や合併症が少ないが特徴です。

初めて人や一時的に使用したい人に適しています。

なお、プラグの脱落が起きると涙点が拡大しており、一回り大きいサイズが必要になります。

スーパーフレックスプラグ

スーパーフレックスプラグでドライアイを治療

スーパーフレックスプラグは涙点プラグの中でも最も使用されるタイプです。

フレックスプラグの改良型でプラグの頭部分が大きくなっています。そのため、フレックスプラグに比べると脱落しにくくなります。但し、肉芽のリスクは少し上がります。

プラグの蓋の部分が構造上緩いため、挿入時に涙点迷入しやすいので注意が必要です。

パンクタルプラグ

パンクタルプラグでドライアイを治療

パンクタルプラグは脱落しにくい構造になっています。その反面、肉芽が起きやすく注意が必要です。肉芽が悪化すると涙点プラグが外れる原因になります。その際は涙点が変形して再挿入が困難です。また、白色塊形成が起きやすいのも特徴です。

通常は初回で挿入されることは少なく、涙点プラグが何度も外れる場合や涙点サイズが大きい場合に使用します。

プラグが外れにくいものの他の副作用や合併症が起こりやすいプラグです。

各プラグにおける副作用と合併症の発生頻度を表にまとめました。

FF SFF PP
脱落 +++ ++ +
肉芽形成 + ++ +++
白色塊形成 + + +++
涙点迷入 + ++ +

その他

コラーゲンプラグ

ジェル状のコラーゲンプラグ

ジェル状のコラーゲンを涙点に挿入する治療法です。涙点に挿入されたコラーゲンは直ぐに固まり、一ヶ月程留まります。

通常は上下両方に挿入します。費用は健康保険が適応されて約5000円掛かります。

なお、シリコン製の涙点プラグに比べて、涙を溜める量は20%程度しかありません。効果の持続は約30~40日です。効果は少ないものの副作用や合併症のリスクはありません。

涙点閉鎖術

涙点が拡大して合うサイズの涙点プラグがなくなれば、外科手術により涙点そのものを塞ぎます。

涙点に針金を挿入後に電流を流して、熱傷させます。涙小管内が変形や癒着を起こして涙点を塞ぎます。一度塞いだ涙点は元には戻せません。後戻りのできない手術です。

術後は涙点が塞がれて涙が溢れるようになります。但し、アレルギー物質が停滞しやすいので、人工涙点で洗い流すことも必要です。

なお、約10%の確率で再度涙点が開通することもあります。

いずれにしても、涙点閉鎖術はどうすることもできない場合の最終手段です。

まとめ

ドライアイを涙点プラグで正しく治療する方法

涙点プラグはドライアイを劇的に良くするメリットある一方で、副作用や合併症のリスクもある治療法です。

ドライアイが発生すれば、まずは点眼薬やセルフケアなどでドライアイを治療することを心掛けてください。それでも、効果が無い場合に限り、涙点プラグを選択することが大切です。

一度涙点プラグを装着すれば外れることもありますが、数年間持つこともあるので長期的な治療が可能です。但し、医師の指示に従い定期的に検診に通いましょう。

追記事項:涙点プラグに関する記事は2013年に外部の健康サイトで執筆した内容です。現在は、イーグルプラグOneやスーパーイーグルプラグが発売されています。これらの涙点プラグもこの記事のプラグと同様の効果と副作用があります。