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レンドルミンの離脱症状を知り適切に断薬する方法

レンドルミンの離脱症状と断薬方法

レンドルミンは不眠症で最も使用される薬の1つです。作用効果も高く使い勝手が良いためマイスリーと並んで良く処方されます。
しかし、反跳性不眠が起きやすく、やめれずに長期間服用している人も多いです。

今回は、レンドルミンの離脱症状を知って適切に断薬する方法を紹介します。

レンドルミンの断薬方法

レンドルミンの断薬方法を治療例と共に掲載します。
患者さんのAさんは、不眠症でレンドルミンを服用していました。
良く眠れるようになったため、半年程度で服用を突然中断しました。しかし、全く寝付くことができずに1週間程度経過しました。

レンドルミンは、反跳性不眠が起きやすく、長く続く傾向にあります。長期間服用して突然断薬した場合は、1週間程度は全く寝付けないことも覚悟しなければなりません。

毎日薬が体内に入ってくることが普通になると、体も薬に合わせて変化するようになります。突然断薬した場合は、体が大混乱起こして対応できなくなります。

そもそもレンドルミンは、脳内物質のギャバに作用して眠りに導きます。普通は自分自身の力でギャバを強めて眠りにつきます。
しかし、ベンゾジアゼピンを服用していると薬でギャバが増強されるため、体は自分でギャバを取り入れなくなります。

薬が体に入ってこなくなれば、離脱症状を伴いながら正常な体の状態に戻ろうとします。
反跳性不眠は、離脱症状の一種ですが数日から数週間かけて徐々に消失していきます。

この方の場合は、断薬に失敗したため強い精神的依存が残ってしまいました。
一度断薬に失敗すると、薬を服用しないと眠れないという恐怖が植え付けられます。
こうなると、断薬する気持ちもなくなり、数年服用するようになります。

その後、レンドルミンだけでは寝付けなくなりました。ベンゾジアゼピンは、長期間服用すると徐々に耐性が現れます。
特に超短時間型や短時間型の薬は起こりやすいです。レンドルミンにおいても、もちろん耐性は発生します。

規則正しい生活や日中の活動量が多い人は、レンドルミンが効き続ける傾向があります。
これは薬に合わせて、体が正常な状態になり、睡眠が安定して継続されます。

しかし、不規則な生活や日中の活動量が少ない人は、薬が効かなくなりやすい傾向があります。
また、複数の薬を服用していたり、アルコールを飲む方にも耐性が起きやすいです。

最終的にレンドルミンとハルシオンを同時に服用して睡眠を取るようになりました。
睡眠薬は単剤投与が基本です。複数の睡眠薬を同時に服用するということは、副作用や耐性、依存性の点からしても避けるべきです。

治療経過から断薬までのプロセス

まず、複数の睡眠薬を服用している場合は、1つにまとめることが大切です。この場合、ハルシオンを中止してレンドルミンで眠れるように、体を戻しました。

その後、2週間程度でレンドルミンだけで寝れるようになれば、減薬を更に開始します。
レンドルミンに対して、断薬する恐怖感が植え付けられていたため、他の睡眠薬に一旦変更しました。

レンドルミンをエバミール1mgに変更して、1週間程度様子をみます。
寝れるようになれば、今度はワイパックス1mgに切り替えて1週間程度様子をみます。

そこから、ワイパックス0.75mgにまで落とします。通常、ワイパックスは0.75mgであれば十分に寝れる服用量です。
超短時間型の睡眠薬と違って、数十分で効果が現れるわけではありませんが、2~3時間掛けて寝付くことができます。

ワイパックス0.75mgまで落として断薬する

ワイパックスはベンゾジアゼピンの中でも比較的止めやすく、鎮静作用もある程度あり、断薬する上で適しています。
但し、0.75mg以下を下回ると寝付きが悪くなってきますので、この位置から一気に断薬をします。

ワイパックスの0.75mgは、薬で寝つける量であると同時に、離脱症状が最低限に収まってて止めれる境界線です。
一気に断薬したとしても、浅い睡眠や軽い離脱症状を伴いながら、数日から1週間程度で軽減していきます。

長期間服用していた方でも、適切に断薬をすれば必ずやめることが可能です。
そのためにも、薬をやめるという強い意志が必要になります。

Aさんの場合は、日中の活動量と朝7時に起きて夜22時に眠るという習慣があったため、断薬はしやすい状況でした。

最初の数日は浅い睡眠が続き数時間ごとに目が覚めましたが、10日程度で自然な睡眠に切り替わりました。
注意点としては、断薬中に再度1錠でも服用してしまうと振り出しに戻ってしまうため、薬をやめる強い意思が大切です。

断薬中にメラトニン系の睡眠薬や漢方薬を求める方もいますが極力避けるべきです。
服用するという意識付けがある限り、本当の意味で断薬をやめることができていません。

完全にやめたという強い記憶が残れば薬を完全に断つことができますが、他の薬で補ったという記憶が残れば再び服用してしまうという恐れもあります。

Aさんは、適切に減薬をして、ワイパックス0.75mgから一気に断薬して薬をやめることができました。

このケースにおいても、数年間服用を続けていても適切に断薬ができました。
長期間服用しているとやめることができないという考えは間違いであり、例え10年間、15年間服用していても必ずやめることは可能です。

もし、レンドルミンとハルシオンを一気に断薬したとしたら、反跳性不眠が強く現れて、長期間続くことも考えられます。
まずは、単剤に戻してから徐々に減薬して、一定の位置から一気に断薬することが大切です。

断薬までの流れ

レンドルミンの断薬までの流れと方法

  • レンドルミンとハルシオンを1つにまとめる。(2週間)
  • レンドルミンをエバミールに切り替える。(1週間)

睡眠薬の中でもエバミールやリスミーは僅かにですがやめやすい傾向にあります。逆に、サイレースやレンドルミンはやめにくい傾向にあります。もちろん個人差もありますが、このケースではエバミールに切り替えました。

  • エバミールをワイパックス1mgに切り替える。(1週間)
  • ワイパックス1mgを0.75mgに切り替える。(1週間)
  • 0.75mgから一気に断薬する。

最初の数日から1週間は浅い眠りが続きます。2週間程度でまとまった自然な睡眠が取れるようになります。
数ヶ月経つと8割9割の部分は回復して眠れるようになります。
半年も経過すると完全に良くなります。

もちろん個人差はあります。人によっては、半年経過しても就寝中に3、4回目が覚めてトイレに起きる人もいます。
寝付くのに2時間程度掛かることもあります。しかし、殆どの人が自然に寝付けるようになります。

就寝中に何度も目が覚めてトイレに起きるため、睡眠薬を求める人もいます。
しかし、これは普通ですので安易に睡眠薬を飲むべきではありません。
何度も目が覚めたとしても、再入眠できるのであれば問題ありません。

また、寝付くのに2時間掛かるとしても睡眠薬は必要ありません。朝早く起きて日中の活動量がある人は数十分で寝付けますが、逆の人は寝付くのに時間が掛かるのは普通です。

どちらにしても、歳を取るほどに睡眠の質が落ちてきますので、子供の頃のような熟睡した睡眠を常に得るという気持ちは、持たない方が賢明です。

私自身、睡眠薬を断薬してから長い年月が経ちました。しかし、夜は3~4回起きます。もちろん、再度入眠することはできます。
薬を使っていたときは再入眠ができるかは運次第といった感じでしたが、今では問題なく再度眠れるため特に気にすることもなくなりました。

例え3、4回起きたとしても、健康に大きな影響はありません。むしろ、それで睡眠薬を服用するようになることが問題です。

日中の活動量や起床時間によっては寝付くのに2時間掛かるのは普通です。十分に疲れたり早朝に起きた場合は、比較的早く入眠や熟睡することができますが、逆の場合は寝付きが遅いです。 しかし、それを気にして睡眠薬を使用するということは良くないということは言うまでもありません。

完全に断薬することができれば、薬に打ち勝ったという記憶が脳に刻まれ、殆どの人が睡眠薬に再度依存することはなくなります。

*記事の内容はプライバシーに十分配慮した上で掲載しています。

レンドルミンの離脱症状を知り適切に断薬する方法は、ベンゾジアゼピン断薬マニュアルの第七章に掲載していた内容です。