睡眠薬や安定剤の減薬や断薬方法を徹底解説
ベンゾジアゼピンを断薬するためには、静かな睡眠環境や日中の活動量、規則正しい就寝起床時間が大切です。これらの点を踏まえて、薬を止める手順を解説していきます。
ベンゾジアゼピンを断薬する3つのポイント
ベンゾジアゼピンを断薬するためには、3つのポイントがあります。
静かな睡眠環境
ベンゾジアゼピンをやめるために大切なことは、静かに眠れる環境があることです。
意外と単純かもしれませんが、騒音のある環境では入眠や熟睡することは困難です。
寝る最中に人の声や犬の声、電車の音などが聞こえていれば眠れないのは当然です。
最も、断薬中は強く騒音のストレスは感じることでしょう。
例えそれなりの音でも本人が気にならないようであれば、断薬に対する障害とはなりません。
断薬中は、ストレスにならない程度の静かな環境で、朝まで眠れる場所を確保する必要が大切です。
日中の活動量
日中に仕事や学校があり、毎日決まったサイクルを過ごす人は、断薬がしやすくなります。
日中の活動量によって、夜眠る時に体が疲れて熟睡できることもその要因です。
さらに、決まった時間に起きて、日中を活動をして、夜になって眠る。
単純なようですが、非常に断薬する上で大切なポイントになります。
休職中の方は、日中の活動量は激減します。しかし、無理に体を押して活動し、ストレスをためることは好ましくありません。最低限、眠れないのに布団の中で居続けるということはやめて、起床しているということが大切です。
仕事や学校がない場合、起床時間は徐々にずれて不規則な生活になります。お昼まで寝るといった事は避けるべきでしょう。日中の活動量は少ないにしても、最低限起床していることが重要です。
規則正しい就寝起床時間
早寝早起きは、断薬をする上で重要なポイントになります。
眠れないからといって、起きる時間が徐々にずれて、昼夜逆転するということは避けるべきです。
例え眠れなくても、毎日同じ時間に就寝することが大切です。
22時に就寝するのであれば、毎日その時刻に寝るようにしましょう。
規則付けることによって、寝るということを体に意識付けます。
薬を完全に断薬することができれば、多少寝る時刻はずれても構いません。
しかし、断薬中はしっかりと決めた就寝時間を守ることが大切です。
普通に健康な人であっても、朝7時8時に起きて、夜の19時20時眠ると言うことは困難です。
人間の体は、起床後14時間経たないとメラトニンというホルモンが出始めません。
不眠症の方は、少しでも早く寝て長く寝なければならないといった固定観念に囚われがちです。
しかし、しっかりと起きている時間を確保した上で、朝7時8時に起床したのであれば、夜の22時には眠るようにすべきでしょう。
一方、起床時間はどうでしょうか?断薬はじめの頃は、中々入眠出来なかったり、眠りが浅かったりします。
そのため、少しでも寝続けなければならない気持ちに陥って、遅くに起床するのは良くありません。
初めの内は、眠りも浅いですが、朝の6時7時には使用するように心掛けます。
すると、数日程度で22時ぐらいになると自然と体が眠くなります。
断薬して体が自然に寝付けるようになれば、多少遅く起きても眠れるようになります。
離脱症状のような不眠は、起きなくなります。
以上が断薬をする上で大切な3つのポイントです。
特に静かに眠れる環境と就寝起床時間は重要です。
複数の薬をやめる手順
睡眠薬だけを服用してる人もいれば、安定剤や抗うつ薬、向精神薬を同時に服用している人もいます。
単純なベンゾジアゼピンによる離脱症状(不眠や不安)だけであれば、薬を1つに絞っていくことが大切です。
うつ病や統合失調症などの病気がある場合は、断薬することは好ましくありません。適切に治療行って良くなってから、開始してください。
まず、抗うつ薬や向精神薬をやめることから始めます。
次に、日中の安定剤を止めます。最後に、睡眠薬のみを残して断薬します。
最初に睡眠薬を止めて、抗うつ薬や向精神薬を残すという方法は、強い不眠が伴い挫折してしまうので良くありません。また、ベンゾジアゼピンに比べても、抗うつ薬や向精神薬は副作用が強いので、最初にやめるべき薬でしょう。
次に、日中の安定剤を断薬します。徐々に減らすといった方法ではなく、一気に断薬する方が好ましいです。
一時的に、不安やイライラといった禁断症状が発生しますが、睡眠薬を使って眠ることができれば、それらの症状は数日で消失していきます。
最後に睡眠薬だけになれば、いよいよ断薬がゴールまであと少しです。
睡眠薬をやめる方法
睡眠薬をやめる方法として、漸減法と隔日法があります。
漸減法は、服用する薬の量を2週間程度で4分の1ずつ減らしていく方法です。
この方法は、途中まで減らすことは可能ですが、一定量まで行くと入眠ができなくなってきます。
そこを乗り越えれば、断薬は可能ですが、多くの人が挫折をして元の量を服用するようになります。
また、断薬する際の薬にも左右されます。デパスやサイレースなどは漸減法が失敗しやすいようです。
リスミーやエバミールは比較的経過は良いです。もちろん個人差もあるので一概には言えませんが、自分にとって止めやすい薬を見つけることも大切です。
次に、隔日法を紹介します。服用する間隔を1日おき、数日置きというように空けていく方法です。
今日服用したら、明日は薬をやめようという方法です。
1週間に1、2回程度薬を断薬するだけでも、依存具合は減ります。しかし、断薬することはできません。
薬が体に残り続ける限り、一日やめたとしても再度薬が体に入るため、一向に離脱症状を克服することはできません。
この方法は、ダラダラと間隔をあけて続けていく限り、無意味な方法ともいえます。僅かにでも、ベンゾジアゼピンが体中に残ってり続ければ、離脱症状は続きます。しっかりと、完全に断薬することが大切です。
これらの方法を踏まえて、睡眠薬を断薬するときは、一定の量まで減薬して、一気にやめることが大切です。
一定の量と言うのは、最低限入眠や睡眠ができる最終的な量を現します。
睡眠薬Aを一錠服用して就寝できていたとします。それを、4分の3まで減らして何とか眠れるが、2分の1まで減らすと全く眠れないとします。この場合は、4分の3が限界の量でしょう。
ここまで辿り着いたら、一気にそこから断薬することが重要です。
服用を止めずにダラダラと続けてはいけません。薬の量を減薬し過ぎて眠れない状況が続けば、再び元の量に戻ってしまいます。
それを避けるためにも、限界の量に達した場合は、一気に断薬してください。
断薬しやすいベンゾジアゼピン
臨床的にロラゼパム(ワイパックス)は、断薬する上で最も止めやすいベンゾジアゼピンです。
服用している睡眠薬を一旦ロラゼパムの1mgに置き換えます。
そこから1週間程度で、0.75mgに減らします。個人差もありますがロラゼパムで眠れる限界の量は0.75mgです。この量にまで減ったら、一気に断薬します。
ロラゼパム自体は、睡眠薬ではありません。最高血中濃度も2時間と遅い傾向にありますが、比較的止めやすいベンゾジアゼピンです。
ロラゼパムを服用すると、すぐに眠れるわけではありません。場合によっては薬の効果が現れるのに2、3時間程度掛かることも多いですが眠れるはずです。
薬の効果の現れ方は遅いが、鎮静作用は比較的強く、離脱症状も中程度である。これらの点から言って、断薬しやすい薬であるようです。さらに、12時間程度で半減期を迎えるので、薬が比較的早く抜けていきます。
思うに、数時間程度で効果が切れる短時間型の薬よりも離脱症状は少なく、長い時間効果が続く長時間型の薬よりも良いと思います。
ロラゼパムの0.75mgを完全断薬する最初の日は、浅い眠りが続き何度も起きるか全く眠れないかのどちらかです。しかし、ここで慌てて再度薬を服用をしては良くありません。
0.75mgで眠れるようであれば、完全断薬すれば浅い眠りが持続され、数日から数週間で比較的良好な睡眠が取れるようになります。そして、数ヶ月経つと自然な睡眠に戻ることでしょう。