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多焦点眼内レンズの白内障手術で失敗と後悔や欠点

多焦点眼内レンズの失敗と後悔や白内障手術の欠点

白内障の手術では濁った水晶体(レンズ)を取り出す代わりに、眼内レンズを目に挿入します。

通常挿入する眼内レンズは1つの焦点にピントが合う「単焦点レンズ」です。しかし、近年は遠方や近方(または中距離)の2ヶ所に焦点が合う「多焦点眼内レンズ」も普及してきました。

多焦点眼内レンズを希望する人の多くは「近くも見えて、遠くも見えるなら便利」と思いがちです。しかし、多焦点レンズが合う人と合わない人がいますし、自分に合うベストなレンズを選ばなけば失敗して後遺症が発生します。結果的に見え方や不定愁訴を抱えて生涯苦しむことになります。

この記事では白内障の多焦点レンズの正しい知識や欠点を詳しく解説します。

多焦点レンズとは

眼内レンズは、球面レンズや非球面レンズ、透明なガラスタイプや黄色いタイプなどバリエーションは豊富になりました。また、乱視を矯正するためにトーリック機能が付いたレンズもあります。

これらのレンズは好みで選べるものではなく、自分の目に合うレンズを適切に眼科医が診断しなくてはなりません。

単焦点レンズ

以前は白内障のレンズといえば健康保険が適応される「単焦点眼内レンズ」でした。焦点は1つですので、遠方に焦点が合う度数レンズを挿入すると、眼鏡なしで遠くは見えても近くは老眼で眼鏡が必要になります。しかし、画質はとてもきれいで満足度の高い手術です。

多焦点眼内レンズ

現在は技術が進歩して「多焦点眼内レンズ」も使われるようになりました。焦点が2ヶ所あるため、遠くも近くも見えて眼鏡が不要になります。

多焦点レンズはレンズの表面に同心円状の溝を何重にも重ねているので、レンズを通過する光りが眼内で遠近に分かれて焦点が合うようになります。また、多焦点レンズは保険が適切されないため、一般的に片側35~40万円と高額です。

多焦点レンズを希望する人は遠近両用眼鏡の用に快適に過ごせると思っている人も多いですが、眼内レンズと眼鏡は全く感覚も違います。眼内レンズは一度装着し時間が経てば取り外すことのできませんし、仮に不具合が発生すればリカバリーが困難になります。

多焦点眼内レンズの失敗

白内障レンズの失敗と後悔

多焦点眼内レンズに人気が出る背景にはインターネットや雑誌の広告でメリットばかり強調されて、間違った情報が散乱しているためです。

広告には多焦点レンズがプレミアム手術などと書かれており、単焦点レンズよりも優れている用に紹介されています。一生に一度の手術なら、より高価な多焦点レンズを選びたいと思うのが普通の考えかも知れません。また、先進医療に対応した生命保険に入っている場合は、せっかくだから高級なレンズを選びたいと思う人もいます。

もちろん、自分の目に合う多焦点レンズが装着できて快適に生活している人も沢山います。一方で、多焦点レンズがピッタリと合うような理想的な眼を持っている人はそれ程多くはいないのが現実です。

多焦点眼内レンズによる白内障を得意とするクリニックの中には全体の手術に占める割合が数十%、年間の手術件数が数百件以上になる所もあります。

一見すると多焦点眼内レンズが得意で安全だと思えるかも知れません。しかし、日本を代表するような眼科医であっても多焦点レンズによる白内障手術が占める割合は数%未満です。それ程、適応する眼は少ないのが現状です。

単純に多焦点レンズの手術件数が多いクリニックはグレーゾーンと呼ばれる人達にも行っていたり、患者の希望を常に優先している場合もあります。このような医療機関では間違いなく、不具合を抱えた患者が多数発生します。

見え方に後遺症が発生しても適切に対処してもらえずに、「いずれ慣れる」「様子を見ましょう」と言われ兼ねません。結果的に術後は後悔し苦しみ続けるのです。

なお、親身で技術や知識のある医師程、多焦点レンズには慎重であり、患者が希望しても単焦点レンズを勧めます。利益を優先するクリニックは単焦点レンズも行うものの多焦点レンズの適応判断基準が緩くなるようです。

多焦点眼内レンズの後遺症

多焦点眼内レンズにおこる後遺症の最大要因は眼内に合わないレンズを挿入された結果発生します。逆に言えば、自分の眼に合う最適なレンズが選択されれば高い満足度を得られることも付け加えておきます。

なお、自分にピッタリ合う多焦点レンズを入れても、遠近2つの見え方を自分の脳で分けて認識する必要があるため、適応できずに頭痛や吐き気、眼精疲労や目まいが起きるケースもあります。大体は1~2ヶ月で慣れますが、3ヶ月以上掛かる場合や残る場合もあります。高齢になると直ぐには慣れないため注意してください。

見え方の不具合

眼内レンズの見え方は単焦点、多焦点に限らず人口のレンズですので、本来ある正常な眼に比べると劣ります。

多焦点レンズは焦点に合う光りの量が遠方と近方で半分になるため、見え方のコントラストや鮮明度は落ちます。

精密な作業を日常的にする職業(職人や歯科医、デザイナーなど)は合わないことも多いため避ける方が無難です。もしも、見え方に不具合が発生すれば仕事ができなくなる恐れがあります。

また、眼の疾患(加齢黄斑変性や緑内障など)で目の感度が落ちている人は見え方が悪化する恐れがあります。

結果的には画質落ちても良いので、近くも遠くも眼鏡を使いたくない人に適しています。

なお、多焦点眼内レンズは両目に挿入することを強く勧めます。片側だけ挿入すると、反対側の眼だけ眼鏡が必要になることや見え方がアンバランスになり致命的です。

眩しさ

多焦点レンズで一番発生する後遺症に光りの眩しさやにじみ、ギラギラ感があります。これは言わば宿命です。

多焦点眼内レンズは光りが散乱しやすく、夜間の運転や光りに対しての見え方が辛くなります。

例えば、夜間に対向車のライトが花火の用にギラついたり、光りにモヤが見えるような感じです。これらは数ヶ月も経つと慣れて気にならなくなります。逆に、単焦点レンズにすれば良かったと後悔する人もいます。

乱視

1D以上の乱視や不正乱視があると、多焦点レンズを入れても裸眼で良い視力が出ない場合もあります。このようなリスクを考えても乱視がある眼には単焦点トーリックレンズを検討する方が良いです。

眼内炎

稀にですが術後約1000~2000人に一人の割合で眼内炎が発生する場合があります。失明のリスクがある一刻を争う症状のため、素早い処置が必要です。気になる症状が発生すれば直ぐに眼科医の診察を受けてください。

眼科選びや手術

クリニックや眼科医選びについて

白内障手術は多くの眼科が行う手術であり、一般的です。故に、街中を探せば技術のある医師は沢山います。

通常の単焦点レンズを受けるなら問題はありませんが、多焦点眼内レンズを希望する場合は正しく診断して施せる医師に出会えるかが重要です。

インターネットでプレミアム(高級)と大々的に宣伝しているような眼科は避けるようにしてください。このようなクリニック最先端の技術提供、ゴールデンアワー賞受賞、名医紹介、手術件数、先進医療実施施設に認定など「みやび」に着飾っています。

海外のゴールデンアワー賞を受賞と書かれて、賞状を海外医師と並んで撮影している写真が掲載されているケースがありました。実際には海外の研修イベントに出席すれば貰えるだけの賞です。

また、厚生労働省が認可する先進医療実施施設に関しては多焦点眼内レンズによる白内障手術を10件実施すればできます。言わば、認定=高い技術だと思わないでください。

白内障の症状が軽く、手術がまだまだ先であっても、利益を優先するために無理に勧められるようなケースもありました。

大切なことは信頼できる技術と知識を持つ眼科医を見つけることです。

白内障の手術

白内障の手術について

手術は通常10分程度で終了します。簡単な手術と思われがちですが、約10%程度の人は手術が難しい眼をしているため数十分でできる手術が2~3時間掛かる場合もあります。このような眼は手術前から分かる場合もあれば、手術してみて分かる場合もあります。

白内障の手術は角膜と結膜の境目あたりを2mm程切開→手術器を挿入→水晶体を砕く→人工レンズを挿入します。

多焦点眼内レンズは様々な種類があります。通常の遠近2焦点から遠中近3焦点レンズも開発されています。

例)ReSTOR(レストア)、iSii(アイシー)、TECNIS Multifocal(テクニス・マルチフォーカル)、FineVision(ファインビジョン)、LENTIS Mplus X (レンティスMプラスX)など

この中から好きなレンズが選べるのではなく、患者さんに合う最適な種類を適切な診断や検査により見極める必要があります。

どのレンズを選択するかによって術後の見え方は大きく左右されます。また、どの種類のレンズも眼に合わない場合もあるため、適応外の診断も重要です。仮に合わない眼内レンズが挿入されれば視力が出ていてスッキリしない不具合が出たりとリスクがあります。

失敗後の再手術

多焦点眼内レンズで見え方に不具合が発生すれば、早急に再手術を準備する必要があります。再度、眼内レンズを入れ替えば良いと思う人が多いですが、現実は違います。

眼内レンズを入れ替えて術後数ヶ月経過すると、水晶体嚢に癒着が起こり取り外すのが困難になります。つまり、この数ヶ月以内に再手術が出来るかどうかが運命を左右します。

不具合を抱えた多くの人は、この機関を逃したために生涯悩み続けているのが現状です。もしも、手術の見え方に納得できない場合は早期に手術を受けた眼科医に説明を求めてください。また、セカンドオピニオンを受けることも大切です。

術後、一ヶ月程度は傷の回復具合により見え方は安定せずに、眼の状態も適切に診断できません。そのため、診察を受けながら再手術を念頭に準備します。

再手術自体は白内障手術と同じ手順です。術後、一ヶ月後~数ヶ月以内に眼内レンズの入れ替えを行うべきです。

明らかに問題があるのに執刀医が拒むなら、躊躇せずに他の信頼できる眼科医で単焦点レンズに入れ替えることが賢明です。

多焦点眼内レンズのまとめ

最近は多焦点眼内レンズを受ける人が増えると共に、不具合を抱えた人が発生してさ迷う結果になっています。

白内障手術において高い技術を持つ眼科医は多いですが、多焦点眼内レンズに合う眼やレンズの種類を適切に診断できる眼科医は割合が減ります。知識不足の中で、合わない眼内レンズが挿入されるケースが後を経ちません。

もしも、白内障手術を受けるなら単焦点眼内レンズを選ぶことを推奨します。逆に、多焦点眼内レンズを選択するなら、リスクを許容しながらも信頼できる眼科医を複数尋ねてください。

なお、眼科医の多くは患者さんの眼を大切にする志の高い人であり、故に多焦点眼内レンズは慎重です。

医療が進歩する中で恩恵を受ける人もいれば、一定の割合で犠牲になる人もいます。インターネットの普及でメリットばかりが先行しますが、光りがあれば影があるのも事実です。しっかりと知識を持ち、正しい判断をしてください。

白内障の手術を受ける全ての人が成功して、人生を歩んで欲しいと願っています。

この記事は適切な医療情報を元に構成しています。また、掲載するに当たり、信頼する眼科医の講演や論文も参考にさせていただきました。

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