角膜潰瘍の完治と治療期間の体験談
角膜潰瘍は角膜実質にまで傷が及び、とても危険な疾患です。
眼は体の中でもとても重要な器官であり、生きていくためにも最も重要です。その眼の部分に当たる角膜に深い傷ができると最悪の場合は穿孔により穴が開いたりします。
また、角膜潰瘍ができると完治までの治療期間も掛かります。場合によっては、1年2年経過することもあります。
私は角膜潰瘍が左右にできて治るのに数年掛かりました。また、一時期は悪化して恐怖を覚えたのを記憶しています。
この時の完治に向けた治療期間の体験談をご紹介します。
角膜潰瘍とは
角膜の傷に対する疾患は、大きく4つに分かれます。
1.点状表層性角膜炎
角膜の表面に白い斑点ができて痛みが出ます。角膜の上皮部分のため治りは早いです。
2.角膜びらん
角膜の上皮部分がびらん状に傷付きます。痛みもありますが、角膜潰瘍の手前で留まっており、この部分で炎症が止まれば、早く治ります。
3.角膜潰瘍
角膜実質の部分にまで傷が進行した状態です。
角膜実質とは皮膚でいえば真皮の部分に該当します。
この部分にまで潰瘍が進行すると治りも遅く、傷痕が残る場合もあります。
また、角膜潰瘍の原因には傷による進行と感染による進行、アレルギー性のものもあります。
特に感染によるものは進行も早いため、直ぐに眼科の診察を受けて、抗菌薬を使用する必要があります。場合によっては点滴注射も行われます。
4.角膜穿孔
角膜潰瘍の炎症が更に進むと角膜に穿孔が生じて、穴が開きます。
こうなると、全眼球炎を起こして最悪失明に至るケースもあります。
このように角膜潰瘍はとても危険な状態であり、確実に治療しましょう。
治療期間の体験談
私が角膜潰瘍になった原因はアレルギー性のものです。
ベンゾジアゼピンの服用により、ベンゾジアゼピン眼症を発症していました。更には、ベンゾジアゼピンにはドライアイを悪化させる作用もあります。これらが複合的に合わさり、角膜潰瘍を発症しました。
角膜潰瘍ができる直前は眼が痛く、我慢していましたが、左目が0.5mm範囲でめくれ上がり、上から0.1mm程度剥がれました。角膜上皮0.05mmなので、その下の角膜実質にまで傷が及んだことになります。
*傷の範囲はおよその目安です。また、写真はイメージ画像です。
痛みは強く、角膜が剥がれた部分が瞬きの度に引っ掛かり恐怖を覚えました。
直ぐに眼科に行きました。顕微鏡で確認すると、案の定角膜が剥がれて、角膜潰瘍になっていました。感染の恐れはなく、ヒアルロン酸点眼液0.3%とムコスタ点眼液が処方されました。
私は元々、点眼液が合わなくアレルギーが合ったので、余計に炎症が起きて程なく中止しました。
やはり、最大の治療薬は自分自身の涙です。この涙に勝る薬は無いと思います。安静にしながら治癒を目指しました。
元々、角膜潰瘍の原因であったベンゾジアゼピンをやめることができれば良いのですが、依存性もあり中々やめれずに角膜潰瘍は悪化したままです。それでも、眼に負担を掛けずに注意しながら生活していました。
問題の角膜潰瘍は発症後の半年間は剥がれた状態でしたが、徐々に小さくなっていきました。
そんなある日、今度は右目に傷ができて剥がれました。左目の傷程ではありませんが、こちらも角膜潰瘍になりました。いよいよ、両目のため痛みも酷く、生活ができなくなりました。
ここから、ベンゾジアゼピンを断薬することに成功して、角膜潰瘍の原因であるアレルギーが起きなくなり、それ以上の炎症を防ぐことができました。
さて、左目発症から一年後には、角膜の剥がれもなくなりましたが、少し傷部分が陥没したままです。右目は治りが悪く、角膜びらんまで回復しましたが、白く濁っています。
両目共痛み自体は最初の数ヶ月で消えていますが、何せ傷の治りが遅く治療期間が掛かります。
左目発症から、2年が経過しました。左目の角膜潰瘍は殆ど完治しています。若干ですが、ミクロ単位に凹んでいるものの、角膜の機能としては問題ありません。
角膜潰瘍まで傷が進行すると最終的に治っても僅かな傷痕が残るのは仕方が無いと思います。
また、右目に関しては傷はそれ程深く無かったので、跡はありません。しかし、傷部分が白く濁ったままです。今後どこまで良くなるか分かりませんが、 何よりも予防が大切だと思いました。
また、角膜潰瘍にはステロイド点眼液は禁物です。フルメトロンといった点眼液が有名ですが、使用を誤ると角膜に穿孔を及ぼす可能性があります。
この件に関しては、医薬品の添付文章に掲載されていますし、眼科医からも使用しないことを告げられました。
一般的な眼科での角膜潰瘍の治療は「ヒアルロン酸点眼液0.3%」が基本のようです。
角膜潰瘍の再発
その後、PC業務で眼を酷使したため、ドライアイの悪化と共に右目の角膜潰瘍が再発しました。瞬きの度に引っ掛かるような違和感が現れて、白く濁っていました。
今度は他のB眼科に通院することにしました。B眼科では積極的にステロイド点眼薬を使用するクリニックです。診察では右目を染めた上で顕微鏡で見てもらいました。右目に0.5mmの角膜潰瘍が再発していました。
処置としてリンデロン点眼薬を注して貰いました。処方薬にはフルメトロン点眼薬(ステロイド)とオフロキシン点眼薬(抗菌薬)を一日4回注すように説明されます。
角膜潰瘍にステロイドは原則禁忌ですが、適切に使用すれば高い効果もあります。中でもフルメトロンは副作用が少ないタイプのステロイド点眼薬です。
オフロキシンは念のため処方された点眼薬で、あくまでも補助的な意味合いのみです。
実際に処方された2種類の点眼薬です。
医師の指示通りフルメトロンを使用してみて思ったことは、炎症が抑えられて濁りが薄くなりました。仮に、ヒアルロン酸点眼薬や人工涙液の使用では確実な効果は期待できなかったはずです。
再診は1~2週間後に行い、概ね角膜潰瘍は8割程度良くなっていました。長引く角膜潰瘍には医師からの適切な処方の元で使用する方が早い回復を望めました。
今回は医師の指示に従い急性的な炎症を抑えるために、1週間ステロイド点眼薬を使用しました。その後は、自然治癒により回復しています。
注意点:角膜潰瘍にステロイド点眼薬を使用すると悪化するリスクもあります。自己判断で使用せずに、必ず眼科医の指示に従ってください。
角膜潰瘍の完治
角膜潰瘍は本当に怖い病気です。私の場合は完治に向かっていますが、仮に炎症が進み、角膜穿孔になっていたらと思うと恐怖です。
もしも、角膜潰瘍になった場合は直ぐに眼科医の診察を受けて、原因を特定する必要があります。
大切なことは原因を特定して、それ以上の進行を喰いとめることです。治療の基本は自然治癒が第一です。完治には長い月日が掛かることを覚悟して、眼を大切にしてください。