エビリファイでアカシジアが出た時の正しい対処法
エビリファイは向精神薬の薬であり統合失調症に処方されます。また、状況によってはうつ病や双極性障害などにも処方されています。向精神薬というと効果が強力で副作用の強いイメージがありますが、エビリファイは安全性が比較的高く、副作用も少なく改良されています。
エビリファイと似た薬に「クエチアピン」や「ジプレキサ」などがありますが、これらの薬と比べると副作用のアカシジカが多いと言われています。
エビリファイを服用してどうしてアカシジカが起こるのか、もし起きた場合はどのように対処すればよいのでしょうか、まずは、アカシジアとはどういった症状なのか解説していきます。
エビリファイのアカシジアに関する記事は、制作会社で運営していたメンタルヘルスサイト「心の治療ナビ」の内容を再掲載しています。このサイトは既に閉鎖されているため、当ブログに載せています。
目次
アカシジアの副作用について
エビリファイの副作用にはアカシジアがよく報告されますが、その副作用は一体のどのようなものなのか、服用している方は知っておく必要があります。そもそも専門用語のためわからない方が多数だと思いますのでぜひ参考にしてください。
エビリファイを服用することによって、足がむずむずしてじっとしていられないような症状が発生することがあります。これが副作用のアカシジアであり、「静座不能症」と呼ばれています。
痙攣のような状態ではありませんが、足がむずむずして落ち着かなくなりとりあえず動かさないといけないような気分や状態になります。 いわゆる貧乏揺すりの強い症状だと思ってください。布団に入って就寝する際も足がむずむずして落ち着かなくなり不眠になることもあります。椅子に座っていられないため、動きまわったり足踏みを繰り返してしまうこともあります。不安や焦りイライラこのような症状も出てきます。
こういった症状は他の向精神薬の副作用でも起こることがあります。特に古くからある薬は、アカシジアが起こりやすく注意が必要です。ただし、エビリファイは古い第1世代抗精神病薬に比べると発生頻度はそれほど高くありませんが、十分に注意してください。
アカシジアが発生しても、他の精神的な疾患の1つだと思われて症状が見過ごされてしまう可能性もあります。エビリファイでアカシジアが発生するということがわかっていれば副作用では無いかと推測することもできると思います。アカシジアと分からずに症状を緩和するために、さらに他の薬を増やすと症状が深刻になったり、他の副作用も発生する可能性もあるため十分に注意してください。
アカシジアの1番の特徴は、そわそわしたり、イライラしたり、ムズムズしたりすることです。これらを見過ごせないでください。精神的な症状かアカシジアなのかは精神科医にしっかりと診察してもらい、納得して治療を受けてください。アカシジアの副作用であれば、適切に薬を変えるなどの処置が施されるはずです。
薬を服用した時期と症状が発生した時期は一致していたりまたは近い時期であることがほとんどです。アカシジアの多くは服用後数日程度で発生することが多いため、このことからも発生要因を特定する事は可能です。
エビリファイを服用し始めてからアカシジアが出始めたのであればその可能性が高いです。
まず、統合失調症などの精神状態が悪化しているのであれば気持ちが落ち着かない、そわそわするといった状況です。しかし、アカシジアは「足がむずむずする」「体がそわそわする」といった体にでてくる症状が主なので、両者を見分ける事は専門医であればできます。
エビリファイは服用後アカシジアの症状が出た場合は、すぐに主治医に相談して適切な対処を行ってください。
さてアカシジアの原因ですが、主にドーパミン受容体を遮断することによって発生する副作用だと考えられていました。これは第一世代の向精神薬で非常に頻発したためです。なぜなら第一世代の向精神薬はドーパミンを遮断する力が強いため=アカシジアと考えられていました。
しかし、近年副作用が少なく、ドーパミンを遮断する効果も少ない、第二世代の向精神薬でもアカシジアが発生しすることを受けて、ドーパミン受容体を遮断することが原因では無いのではと言われるようになりました。さらには、抗うつ薬においてもアカシジアが発生するため、ドーパミン受容体以外の作用も関わっているのではないかと考えられるようになりました。
一般的に、ドーパミンを遮断する効果もアカシジアの原因の1つであるけれども、さらに他の要因が関係して起こっているのではないかという結論に達しています。
ドーパミン以外の原因として、ノルアドレナリン機能の亢進やギャバの機能低下も要因になっているのではないかといわれています。
エビリファイでアカシジアが発生する頻度
向精神薬においてアカシジアが発生する一定のリスクは避けて通れないことかもしれません。エビリファイにおいても十分に注意することが大切です。
そもそもアカシジアの副作用はの副作用は、第一世代の向精神薬で多く発生します。特に第一世代の中でもハロペリドール(セレネース)やクロルプロマジン(コントミン)で発生することは多く報告されています。さらに、症状も強く一度発生すると服用を中止することが求められます。こういったことからも第一世代の向精神薬は副作用が強くネガティブなイメージがありました。その後、副作用が改良された第二世代の向精神薬が世に現れると、アカシジアの発生頻度は少なくなりました。
特に第2世代の向精神薬は、アカシジアが発生する頻度は少ないですし、症状が発生したとしても弱い傾向にあります。薬の種類として、ジプレキサやクエチアピン、 リスパダール、エビリファイなどが有名です。
第二世代の向精神薬一覧
MARTA(多元受容体作動抗精神病薬):ジプレキサ、 セロクエル
SDA(セロトニン・ドーパミン遮断薬):リスパダール、ロナセン、ルーラン、インヴェガ
DSS(ドーパミン・システム・スタビライザー):エビリファイ
以上の3種類が主です。特にアカシジアが発生しやすい順番で並べると、DSS>SDA>MARTAになります。
このことからも、エビリファイがアカシジアが発生しやすいということです。
エビリファイでアカシジアが発生したとすれば、MARTAに処方を変えるといった方法も必要です。製薬会社ではアカシジアの発生する確率が公開されています。
- エビリファイ:統合失調症11.71%、双極性障害:30.21%、うつ病・うつ状態28.05%
- セレネース:5%以上
- コントミン:5%以上
- リスパダール:4.95%
- ジプレキサ:3.13%
上記を確認するとアカシジアの発生頻度はエビリファイが多いと言う結果になります。ただし症状の強さから言うと第一世代のコントミンやセレネースが強力です。
エビリファイに発生するアカシジアの症状別疾患を見てみると、統合失調症よりも双極性障害やうつ病等の患者さんに処方する方が発生しやすいという傾向があります。
双極性障害やうつ病などにエビリファイが処方された場合は、アカシジアに対して十分に注意して経過観察することが必要です。
アカシジアが発生した場合の対処法
アカシジアはエビリファイを服用することによって発生する副作用ですので、原因を対処することが必要です。必ず自己判断で薬を中止したり減薬、変更するのではなく主治医の診断に従ってください。アカシジアは放置してさらに悪化すると危険な症状ですのですぐに診察をおこなってください。
アカシジアが発生した時の一般的な対処方法は以下の通りです。
減薬、または薬を変更する
統合失調症などの症状がある場合に薬を断薬することは、精神的な症状を悪化させるので注意が必要です。そのため、できることなら減薬や薬の変更が望まれます。人によっては少ない量でもアカシジアが発生してしまいますが、一般的に減薬を行えば症状は軽くなります。ただし、精神的な症状が発生する場合は、根本的に薬の変更をすることが必要です。
アカシジアは服用後続けていると発生する場合は、減薬や薬を変更することが必要です。
その他にも、急な増薬で発生する場合があります。この時は、一旦薬を元に戻し、ゆっくりと時間をかけて増量することが大切です。それによって、症状が現れないことがあります。
また、 1番の解決方法は薬を変更することでしょう。エビリファイ自体アカシジアが発生することは多いので、MARTA(多元受容体作動抗精神病薬):ジプレキサ、 セロクエルやSDA(セロトニン・ドーパミン遮断薬):リスパダール、ロナセン、ルーラン、インヴェガに変更することで、症状を改善させることができます。ただし、薬を変更するということは精神的症状に合う合わない、他の副作用が発生するということも考えられますので、総合的に判断して自分に合った薬を使うことが大切です。
症状が軽ければ様子を見る
アカシジアが我慢できる程度の症状で副作用も軽いと思われる場合は、様子を見ることも大切です。なぜなら身体が薬に慣れて症状が消えていく場合もあるからです。まずは一旦、 1週間から2週間様子を見ることもできます。
症状の様子を見ていて、悪化していくようであればすぐに薬を変えたりする必要があります。しかし、徐々に症状が軽くなるようであれば、薬自体が体に慣れてきてアカシジアが消えていきます。特にアカシジアの副作用は、急な薬の増量や初期段階の投薬において起こりやすく、症状が発生しても経過観察することで自然と消えていく場合が多いようです。
しかし、前述の通り症状が軽い場合に限り様子を見るということが望まれます。足のむずむずや不快感があるのに我慢することは避けた方が賢明です。
主治医の診察を受ける
アカシジアが発生した場合はすぐに主治医に報告し診察を受けましょう。
足のむずむずや不快感があるのに我慢して飲み続けると言うのは避けてください。こういった場合は、症状がさらに悪化して重症化することもあります。また自己判断で、薬の量を減らしたりやめたりすることは、精神的症状の疾患が悪化する可能性があるため危険です。
主治医に診察を受ければ、適切に対処してもらえ症状が改善することでしょう。アカシジア自体の副作用は薬が原因ですので、適切に対処を行えば怖い副作用ではありません。
必ず医師の診察を受けて下さい。
副作用を止める薬を追加する
エビリファイでアカシジアが発生した場合は薬を減薬・変更することが大切です。しかし、どうしてもエビリファイが必要な方もいます。つまり、エビリファイに効果があり精神症状が良くなっている方は、変更したくない可能性もあります。
このような場合は、アカシジアを抑える薬を追加する必要があります。アカシジアを抑える薬は開発されているため、一旦それらを服用し様子を見ることもできます。
しかし、副作用を新たな薬で抑える・薬に薬を追加するという事はあまり良いことではありませんので最終的な手段としてみることが良いと思います。
また、アカシジアの症状は自然に消失することもありますので、副作用を止める薬を服用して症状が治まったのか見分けがつかなくなることもあります。また、副作用止めの薬自体にも副作用があるため長期間使い続ける事は良くありません。適切に使用して、副作用を止める薬を最終的に止めれるようにする方が良いです。
以下に副作用を止める薬を3種類紹介します。
ベンゾジアゼピン系安定剤
脳内物質であるギャバの作用を増強することにより、抗不安作用や筋弛緩作用が発生します。これらによって、アカシジアが改善することがあります。
ベンゾジアゼピン系安定剤は多くの種類がありますが、デパス・ワイパックス・セルシンなどが有名です。 1、2週間程度服用してアカシジアが改善されればベンゾジアゼピン系安定剤を中断します。また、ベンゾジアゼピン系安定剤には依存性や耐性がありますので長期間服用することは避けた方が賢明です。
また、エビリファイを服用している方は、ベンゾジアゼピン系安定剤や睡眠薬を服用している方がほとんどなので、それでもアカシジアが発生するとすればベンゾジアゼピンは効果かないと判断すべきです。
抗コリン薬
パーキンソン治療薬である抗コリン薬を使用してアカシジアを改善させる方法もあります。抗コリン薬は、アセチルコリンの働きを抑える作用があります。これにより、パーキンソン症状を治療しますがアカシジアにも有効であると報告されています。そもそもアセチルコリンの働きを抑えることにより、ドーパミンか活性化されます。ドーパミンが活性化されると、パーキンソン症状やアカシジアが改善されるのです。
以下の薬が代表的な薬です。
ビペリデン(商品名アキネトン)
プロフェナミン(商品名パーキン)
トキヘキシフェニジル(商品名アーテン)
しかし、薬の副作用にそれを改善する薬を追加すると言う事は、さらなる副作用を生む可能性もあります。特に抗コリン薬は、精神状態が不安定になったり胃腸疾患・吐き気や便秘なることもありますし、稀にですが悪性症候群が発生することもあります。つまりは、さらなる薬を薬を追加するということは極力避けた方が良いです。この方法は最終的な手段だと考えられます。
β遮断薬
β遮断薬は、心不全や血圧を降下させるために使う循環器系のお薬です。 β遮断薬を使用してアカシジアを改善させるという方法もあります。
β遮断薬はアドレナリン受容体の中のβ受容体を遮断する作用があるため、これらがアカシジアに有効である場合があります。
以下の薬が代表的な薬です。
プロプラノロール(商品名インデラル)
プロプラノロールは、脳内にまで届き作用するため代表的な薬の1つです。
β遮断薬は、喘息や低血圧の方、その他服用ができない疾患もあります。そのため、 β遮断薬を服用する際は、他の疾患がある事を医師にしっかりと報告してください。