角膜びらんの完治と治療期間の体験談
角膜びらんは上皮部分に損傷(剥がれや傷)が起きて痛みを伴う疾患です。発生原因はドライアイやコンタクトレンズなど様々です。
眼は生きていくのに大切な器官で、僅かな傷でも重大です。角膜びらんは角膜の浅い部分の損傷ですが、症状が進行すると角膜実質層にまで傷が及び重症化する恐れがあり、早期の治療が望まれます。
私自身は角膜びらんに何度も悩まされて、治療や完治するのに苦労しました。そればかりか、症状を悪化させて角膜潰瘍にまで進行しました。一時期は失明するのではと恐怖を覚えたぐらいです。
角膜びらんになった場合に大切なことは症状の進行を食い止めて、自然治癒で完治を目指すことです。この記事では私自身の角膜びらんにおける原因や症状、治療の体験談を紹介します。
角膜びらんの原因
当時は日常で眼がゴロゴロしたり渇くような違和感が良くありました。そんな日々が続く中でドライアイが悪化して、角膜にダメージを受けていました。
ドライアイで注意することはパソコンやスマートフォンは瞬きも減少して、知らず知らずに目を酷使していることが多いです。また、冬場の暖房は眼が乾くため、目に負担が更に掛かります。
ある日、瞬きをした際に角膜が引っ掛かるような違和感を覚えました。気になって、鏡で目を見ても分かりませんでした。しかし、暗い所で携帯のライトで照らして見るとささくれのような小さく剥がれた傷ができていました。
角膜は6層から形成されており、上から順に以下のようになります。
- 角膜上皮
- ボーマン層
- 角膜実質層
- デュア層
- デスメ層
- 角膜内皮
皮膚でいえば表皮部分が角膜上皮にであり、真皮が角膜実質層と考えると分かりやすいです。
角膜びらんは角膜上皮が損傷を受けている状態です。この部分で症状が留まる限りは1~2週間で完治します。問題は傷の進行が進み悪化すると、角膜実質層も損傷受けて治療期間が長くなります。治った後も角膜に傷跡や濁り(角膜混濁)が発生する場合もあます。そのため、角膜びらんの内にしっかりと対処することが大切です。
角膜の重傷度
角膜の損傷には4段階のレベルがあります。軽い順番に「点状表層角膜炎」>「角膜びらん」>「角膜潰瘍」>「角膜穿孔」です。
点状表層角膜炎
角膜上皮のごく浅い一部分が剥がれた状態です。通常は1~2日程度で良くなります。軽傷であれば、半日で治る例もあります。
皮膚でいえば肌荒れのような軽い症状であり、ありふれた疾患です。
角膜びらん
角膜上皮の一部や深い部分まで剥がれている状態です。痛みや瞬きの際にゴロゴロしたりと不快感は強いです。通常は1~2週間で回復します。角膜びらんで症状が留まる限りは問題なく完治します。
角膜潰瘍
角膜実質層にまで損傷が進み、危険な状態です。強い痛みや炎症起きています。大切なことは一刻も早く、それ以上の進行を抑えて治療することです。治るのにも数ヶ月単位の月日が掛かりす。
角膜穿孔
角膜潰瘍が重篤になると更に進行が進み、穴が空く恐れがあります。角膜穿孔になると失明のリスクが伴い回復は困難です。最悪は角膜移植が必要になります。
通常は角膜穿孔になることは稀です。但し、感染症が原因の場合は症状の進行が早く、角膜穿孔になる恐れがあります。直ぐに眼科で治療を受けてください。
角膜びらんでは感染症を併発しない限りは、角膜穿孔のような失明の自体は殆どありません。
角膜びらんの種類
角膜びらんには単純性角膜びらんと再発性角膜びらんの2種類があります。
この内、再発性角膜びらんは厄介で繰り返し症状が再発します。数日~数ヶ月単位で剥がれるため、治ったと思っても油断はできません。再生された角膜上皮は接着が緩いため、圧力が加わると剥がれやすくなります。なお、再生性の場合は傷が完全に完治するには1~2ヶ月は必要です。その間は目に負担が掛からないように注意をしてください。
単純性角膜びらん
ドライアイ
ドライアイが乾燥びらんの原因にもなります。暖房や渇いた室内にいると眼が乾燥してきます。パソコンやスマートフォンを操作していると、瞬きの回数が減少するため、知らぬ間に角膜が乾燥してダメージを受けています。
なお、その他ドライアイの要因として、精神薬(ベンゾジアゼピン)やある種の高圧剤を服用している人は、涙の分泌が阻害されていることがあります。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズは角膜びらんになりやすい要因です。長期間の装着や外さずに寝るのはやめましょう。コンタクトレンズの洗浄液は手で擦るタイプを選択して、丁寧にケアしてください。
角膜に傷や違和感がある状態では、コンタクトレンズは使用しないでください。回復が遅れるばかりか症状を悪化させることがあります。
外傷
目に異物が入ったり、逆さまつ毛が原因で起こることもあります。爪で引っ掻くなど角膜に傷を付けることもあります。
瞬きの閉じ不足
人は瞬きをすることにより目の乾燥を防いでいますが、しっかりと目が閉じれないことにより、涙のドライスポットが発生します。
意識的にしっかりと目を閉じるようにしてください。人によっては瞬きをしているようで、しっかりと閉じれていない人が多くいます。
なお、外傷や病気が原因で瞬きが上手くできないケースもあります。
- 眼瞼下垂
- 二重瞼などの美容整形手術
- 顔面神経麻痺
- 瞼の外傷や火傷による縮みや裂傷。
- 眼球突出(バセドウ病など)
このような場合は眼科だけでなく、形成外科や他の診療科と連携して治療する必要もあります。
再発性角膜びらん
外傷性再発性角膜びらん
ドライアイやコンタクトレンズ、外傷などが原因で発生した角膜びらんが治っても再発を繰り返すことがあります。
再生した角膜上皮は接着が緩いため、何か圧力が加わると再度剥がれます。角膜びらんが治った後も数ヶ月間は目に負担は掛けずに、原因になる要因は避けるようにしてください。
角膜ジストロフィー
角膜ジストロフィーは稀ですが、遺伝的な疾患で角膜が徐々に白く濁ります。また、角膜びらんが発生したりと難治性の疾患です。
完治は難しいですが、症状をコントロールしながら生活していく必要があります。今後、医学の進歩して治療法が開発されることを望みます。
糖尿病角膜上皮症
糖尿病の目に起こる疾患として糖尿病網膜症が有名ですが、角膜上皮に障害が発生することも良くあります。
糖尿病になると傷の治りが遅れたり、神経障害により痛みに鈍感になります。その結果、角膜びらんが起こる場合があります。
傷が治りにくいため、角膜上皮の再生も阻害され未熟になり、何度も再発します。しっかりと糖尿病を治療する必要があります。
その他
角膜びらんは一部の抗がん剤で起こることもあります。レーシックなどの近視矯正手術を行った人はフラップ部分に発生しやすくなります。
再生性角膜びらんは起床時に起きやすいのも特徴です。就寝中は涙の分泌も起きないため、目が渇いています。目が覚めた際は急激に瞬きをせずに、あくびをして涙を意識的に出すようにします。また、最初はゆっくりと瞬きをし始めて、角膜に負担が掛からないようにします。
角膜びらんの症状
実際に角膜びらんになって分かったことは、激痛とまでは言えませんが、チクチクするような痛みが発生します。瞬きの際も引っ掛かるような違和感があり不快です。
何よりも、良くなったとしても再発を何度か繰り返して辛かったです。角膜びらんができると物を見るのにも、ゴロゴロした痛みが伴うため成るべく安静にすることを心掛けました。
私の場合は痛みと異物感が主でしたが、一般的に角膜びらんには以下ような症状があります。
- 角膜表明の痛み。
- 瞬きの際に異物感が出る。
- 目の充血
- まぶしく感じる
- 視力低下
- 涙が溢れる
角膜びらんの治療
角膜びらんになった場合は発生原因を知り、それ以上の進行を食い止めること大切です。基本的に原因を取り除けば、回復に向かいます。
例えば、コンタクトレンズが原因であれば完治するまでは使用を控えます。ドライアイであれば、瞬きを意識的に多くしたり、合う目薬を使いケアします。
治療における基本は自然治癒です。あくまでも点眼液は補助でしかありません。目に負担を掛けないようにして、しっかりと睡眠を取るようにします。
通常は単純性角膜びらんであれば、1~2週間で完治します。再発性角膜びらんの場合は1~2ヶ月再発がなければ概ね完治です。
実際に角膜びらんになり、様々な点眼液を試しました。
ヒアルロン酸点眼液
目がしっとりして潤います。ヒアルロン酸点眼液には0.1%と0.3%があります。0.1%は余り効果が感じられなく、0.3%はとても潤いました。
ジクアス点眼液
涙の分泌を増やす働きがある目薬です。ジクアスを実際に使い続けると涙が増える感触がありました。しかし、結構染みるため私には合わなかったです。
ムコスタ点眼液
一回限りの使い切りタイプの無添加点眼液です。胃薬に使われる粘膜を保護するムコスタが含まれています。
点眼すると目が潤いますし、しっとりします。但し、薬液が白いため人前で注すと怖がられます。
それなりに効果が合った目薬です。
フルメトロン点眼液
弱めのステロイドによる点眼液です。角膜びらんや角膜潰瘍に使用すると、症状が悪化したり傷が浸蝕する恐れもあります。原則禁忌であり、自己判断で使用しないようにしてください。
ソフトサンティア点眼液
無添加の人工涙液です。薬局やドラッグストアで処方無しに購入ができます。こまめに注すと乾燥が防げます。
防腐剤が含まれていないため、目にも負担が掛かりません。パソコン作業で目が渇いたら頻繁に注していました。
無添加眼軟膏
日本で手に入る眼軟膏には抗菌薬がステロイドが含まれています。しかし、海外では無添加の眼軟膏が市販で手に入ります。
実際に幾度と使用したことがありますが、目がべとべとになり潤います。視界が軟膏で遮られる程ですが、目が楽です。
一度使うと数時間以上効果があります。就寝前に眼軟膏を入れておくと、起床時の乾きがありません。
問題は日本では手に入らないことです。個人輸入などにより、購入が可能です。
抗菌点眼液
角膜びらんに感染症が疑われる場合は抗菌点眼液や抗菌眼軟膏も使用します。特に感染症は重症化する恐れがあり、緊急を要します。注意してください。
自己血清点眼薬
自分の血液を点眼する治療法です。まず、腕から血液を採血した後、遠心分離器に掛けます。作成された血清は黄色くしっとしりした液体になります。
これを目に点眼します。自分の血液ですので、安全でアレルギーもありません。目に注すとしっとりと潤います。液体の成分には豊富な栄養素が含まれています。
角膜びらんの治療効果としては即効性のある作用はありません。あくまでも、涙にプラスした補助治療です。
一回の採血で5本程度作成可能です。費用は1本500円程です。通常は冷凍庫に保管しておきます(使用期限は一ヶ月)。使用する場合は冷蔵庫に移します(使用期限は1週間)。持ち歩く際は保冷剤に入れて低い温度を保たなくてはなりません。防腐剤が含まれておらず、時間経過と共に細菌が増殖する恐れもあります。使用期限は必ず守ってください。
実際に使ってみて、あまり効果は感じられませんでした。何よりも、毎回自分の血液を採取しにいく必要があり、持ち歩くのが困難ため現実的な治療法では無いと感じました。
バンテージコンタクトレンズ
角膜びらんが再発がしぶとくて、保護用のソフトコンタクトレンズを処方されたことがあります。
健康保険は適応されずに、一枚1000円程度掛かりました。一日中の装着はもちろん、寝ている最中もそのままです。瞬きの際の擦れや刺激を保護レンズが守ります。
実際に使ってみましたが、元々アレルギー性結膜炎があるため、充血して外してしまいました。次回の診察の際に医師に怒られました。
涙点プラグ
重度のドライアイに使用する治療法です。涙の排水溝を塞いで、目を潤します。劇的な効果がある反面、リスクやデメリットもあるため、慎重になるべきです。
詳しくは過去の記事で涙点プラグの副作用を掲載しています。
眼帯
私の場合は右目に角膜びらんが発生していました。そのため、パソコン作業をする時は右目に眼帯を付けて、負担を和らげていました。
乾燥やドライアイが防げて良かったです。薬局やドラッグストアで手に入ります。
その他
難治性の再発性角膜びらんには高度な治療法もあります。
- レーザーで角膜びらん部分を取り除く手術
- 角膜びらん部分を針で突ついて細胞の再生を促す手術
いずれにしても、簡単な治療法ではないため、大学病院や設備のある医療機関が必要です。リスクやデメリットもありますので、医師としっかりと相談してください。
角膜びらんで大切なことは目を乾燥させないようにすることです。意識的に瞬きやソフトサンティアをこまめに注しましょう。何よりも最高の点眼液は自分の涙です。
治療の基本は自然治癒ですので、目に負担を掛けずに回復を目指してください。
まとめ
私自身はドライアイ持ちで今でも角膜びらんになるときがあります。成るべく軽症の内にセルフケアや治療を心掛けて、再発を防いでいます。
なお、過去には角膜びらんが悪化して、角膜潰瘍にまでなったこともありました。この原因はアレルギーによるものでしたが、治るのに数年掛かりました。一時期は角膜に濁りが発生しました。また、完治はしましたが小さな凸凹跡は残ったままです。
関連記事:角膜潰瘍の完治と治療期間の体験談
大切なことはいち早く角膜びらんの進行を止めて、自然治癒に向かうことです。
皆さんの角膜びらんが良くなることを願っています。ありがとうございました。