アソアライナーの失敗と出っ歯とデメリット

アソアライナーは歯を部分矯正できるマウスピースです。前歯や歯の軽微な歯の乱れを矯正することが可能です。
最近人気のある治療法で一部の歯科でも行われるようになってきました。

従来の歯列矯正はワイヤーなどを使って長期間治療を行う必要があります。見た目や時間、費用等も掛かるため躊躇する人も多いのが現状です。しかし、アソアライナーはマウスピースを使用することから、他の人にもバレずに治療が可能ですし、見た目を気にする必要はありません。更に、治療期間も数カ月～半年程度と短く、費用も2～30万程度と割安です。

こう考えると、メリットだけが先行しがちですが、良い部分もあればデメリットがあることも事実です。

この記事では、アソアライナーを失敗しないためにも正しい治療法を紹介したいと思います。

アソアライナーの失敗

アソアライナーは軽微な歯のがたつきを治す治療方法です。中程度や重度の乱れた歯の矯正はできません。あくまでも、僅かな歯の乱れを治療できる方法だと考えてください。

出っ歯や乱杭歯、八重歯などでアソアライナーを考えている方も多いですが、完全に上手くいくかと言われれば、現状では難しいと言わざるを得ません。

一本の歯を動かせば、他の歯にも圧力が掛かり全体の歯が乱れることも考えられます。歯は一つ一つ独立しているように見えますが、隣り合う歯や全体の歯はそれぞれ微妙なバランスを保ちながらその位置に存在するのです。

一つの歯を動かせば、隣り合う歯に圧力が掛かり歯列が複雑に変化していきます。ワイヤー矯正であれば検診の度にその都度微調整できますが、アソアライナーは臨機応変な対応が苦手です。微調整する度に、新しいマウスピースを作り直さなければなりません。

また、歯を動かすことは簡単ですが、その位置に固定することは何倍も難しくなります。動かした後に長期間固定するためにマウスピースを装着し続ける必要があります。良くワイヤー矯正の後において、保定装置（リテーナー）を装着し続けますが、あれと同じ原理です。

例え、歯を動かしたとしても、しっかりと固定をしなければ、元に戻ろうとする力で治療前の歯の形状に戻ることも考えられます。

また、アソアライナーは歯列矯正を少し勉強しただけのクリニックで行われていることもあります。この場合に治療を受けるのはとてもデメリットがあります。そもそも歯列矯正は、難易度が高く長年にわたる経験を積んできた歯科医のみが治療を行うべきです。目安としては、日本矯正歯科学会認定医がいる歯科クリニックに行きましょう。

ワイヤーなどの歯列矯正を行っている歯科クリニックであれば、アソアライナーの治療に失敗したとしても、他の選択肢を提供してもらえます。もし、アソアライナーだけしか提供していない歯科で治療を行った場合は、失敗した際に対応してもらえずに、他の医療機関に掛かる必要が出てきます。こうなると二度手間ですし、他の医療機関で受けた患者を受け入れてくれるクリニックを探さなければなりません。

日本矯正歯科学会認定医であれば、アソアライナーで治療が難しいと分かれば、他の治療方法に臨機応変に変更して貰えるので、しっかりと安心できる歯科クリニックを選びましょう。

アソアライナーの治療

実際に治療を行う際は、アソアライナーで歯列矯正ができる程度の歯並びであるか診察する必要があります。矯正できない歯であれば通常は断られます。しかし、無理に治療を進める歯科医の場合は、その後失敗するケースもあります。

アソアライナーで治療受ける際は、複数の歯科クリニックにカウンセリングに行くようにしましょう。これが最低限自分の身を守る方法です。

私自身、前歯が軽微に乱れていたので、アソアライナーを受けようかと悩みました。実際にアソアライナーで治療行っている歯科クリニックは当然治療は大丈夫といいます。しかし、日本矯正歯科学会認定医がいる歯科クリニックでカウンセリングを受けた際は、ワイヤー矯正が必要であり全体の歯列を整えなければならないと助言されました。

安易に、アソアライナーを開始していれば失敗していたかもしれません。

もちろん、軽微な歯の乱れで1本だけ動かす場合は、それなりに効果があるのは事実です。例えば、隣り合う歯の隙間をスライス（ストリッピング）して、空いたスペースに歯を動かす場合は治療効果は高いと思われます。

空いたスペースは圧力がありませんので、スムーズに歯が動き固定することが可能です。つまり、アソアライナーにおける治療法はこのような症状に限定すべきです。

もし、出っ歯や乱杭歯、八重歯で悩まれているなら、治療期間や費用は掛かりますがワイヤー矯正をすべきだと思います。また、短期間で治療効果を望むのであれば、セラミック矯正も致し方ないかと思います。

また、アソアライナーは左右や前後への動きは得意ですが、上下の動きには対応できません。つまり、伸びすぎた歯を上に戻すといったことはできないと考えてください。歯の上下位置を整えるということは無理があります。

装着感に関しては薄くて軽いものの、しゃべりにくさや違和感はあります。これを24時間装着したままだとすると、それ相応のストレスが掛かるのも事実です。先にも述べました通り歯を動かすのは簡単ですが、保定するのに時間が必要なため、長期間装着し続けなければなりません。

また、マウスピースが唾液を妨げるため虫歯になりやすいのもデメリットです。唾液は虫歯を防ぐ天然の治療薬ですが、マウスピースがあるとその効果を発揮することができずに、人によっては虫歯の発生や進行が速く進みます。

まとめ

全ての治療法において言えることですが、メリットがあれば必ずデメリットも存在します。失敗したときに取り戻せる治療法ならまだしも、取り返しがつかない治療法であるなら十分に検討をしてください。

良く美容整形のメリットに飛びつき手術を受けて、後々後悔する人も多々います。お金や物であれば、また手に入れれば良いのですが、体はそういうわけにはいきません。たった1つの歯であっても、大切な体の一部です。

しっかりと賢い患者になって治療を受けるようにしましょう。