インビザラインの失敗とデメリットの体験談
インビザラインはマウスピースを使って歯列矯正ができる人気の治療法です。
治療費は100万程度必要ですが、透明なマウスピースを装着するため審美性にも優れています。
手軽さもあり人気の治療法ですが、メリットもあればデメリットもあるのも事実です。実際にインビザラインを受けて良かったと思う人もいれば、失敗して後悔する人もいます。リスクをしっかりと知った上で治療を受けるようにしましょう。
この記事では、インビザラインのメリットとデメリット、失敗例、体験談をご紹介します。
インビザラインのメリット
インビザラインをする上で最大のメリットは、透明なマウスピースゆえに人に見えないことです。インビザラインを希望する患者の9割以上は、この理由に該当します。
実際にインビザラインは非常に薄く、装着しても人にばれることはありません。言い換えれば、人知れず治療を始めて、終わることが可能です。
そもそも、日本人は大人になってワイヤー矯正を受けると、違和感や偏見を少なからず持たれます。接客業や男性であれば尚更です。
そのため、どうしてもワイヤー矯正に踏み切れず躊躇する人が多いのが現実です。
しかし、誰でもきれいな歯並びを手に入れたいのは本望です。美しい歯並びはそれだけで見た目の印象も大きく上がります。
昔の日本人は食生活も固いものが主流で、顎がしっかりしていたため、歯並びが良い人が多くいました。現在の日本人は食生活も欧米化して、柔らかいものも多く、顎の発達も低下して、歯並びが悪い人が増えました。
歯並びが悪いまま大人になって、物心付くときに歯列矯正しようにも偏見がある・・このような状況で登場したのがインビザラインであり、現在人気のある治療法になりつつあります。
インビザラインの症例は全世界で約250万症例(2016年まで)あります。とても凄い症例数ですが、言い換えればたったの250万症例しかないと言うことです。
ワイヤー矯正はその100倍=数億症例はあります。様々な研究や論文があり、臨床経験も膨大です。簡単に言えば症例数に雲泥の差があるのが事実です。
インビザラインはまだまだ開発されてから日も浅く、ワイヤー矯正以上の治療効果のメリットや完成度、安全性がある訳ではありません。
そのため、数字のマジックに踊らされてはなりません。
アメリカやヨーロッパでは、歯並びが良い人が殆どです。歯並びが悪いと社会的ステータスも下がり、見下げて見られます。だからこそ、大人になってからワイヤー矯正をする人も多く、偏見もありません。
そのため、インビザラインで治療をせずにワイヤー矯正をする人が大多数です。人によっては生涯に数回矯正する人もいます。それ程、歯列矯正はありふれているため、わざわざインビザラインを選択する必要はありません。今後インビザラインの普及が進むのは日本やアジアではないかと推測できます。
インビザラインの失敗やデメリット
インビザラインには、失敗やデメリットもあるのは事実です。
開発されてから日も浅く、症例数もまだまだ少ないため未知数の部分も多いのが現実です。
仮に治療が上手くいかなかった場合は、ワイヤー矯正に切り替える必要も出てきます。そのため、ワイヤー矯正も行う経験豊富な日本矯正歯科学会認定医の歯科医師の治療を受けてください。治療が上手くいかなかった場合に臨機応変に治療計画を変更して貰えます。
そもそも、ワイヤー矯正であれば、毎回の診察毎に微調整しながら最適な位置や歯並びにもって行くことが可能です。これがワイヤー矯正における最大のメリットではないでしょうか。
歯列矯正は時に予測不可能なことが起こるとも限りませんし、毎回微調整しながら治療を勧められるワイヤー矯正はリスクも少ないです。
一方、インビザラインは治療の初期段階に、治療計画や歯のシュミレーションを行い、治療開始から終了までのマウスピースを完成させます。明確にゴールや完全歯並びを描けます。しかし、全て設計図通りに事が進むとは限りません。
人によっては、上手くいかずに再度インビザラインを作り直す必要も出てきます。勿論、再作成費用は治療費に含まれているとしても、非常に回りくどい治療になることは確かです。
ワイヤー矯正であれば、その場で微調整すれば済む話です。インビザラインでは、また型を取って海外に発注を掛けてを受け取る必要性も出てきます。
つまり、臨機応変な治療が苦手であると言うことです。
インビザラインは歯列矯正の中でも軽度や中程度が治療範囲です。勿論、素人目には軽度に見えても、専門家から見ると困難なケースもあります。
また、顎の位置がずれている人や歯並びが悪く重度の人にはインビザラインは適しません。矯正途中に大きく治療の方針が転換したり、不具合が出たりとデメリットがあるため、ワイヤー矯正を選択する方が賢明です。
言い換えれば簡単な症例が一番適していると言うことです。
最も、歯列矯正の専門医にインビザラインの治療を希望して、診察を受けたとしても、ワイヤー矯正を勧められることも多いはずです。専門医自体も、ワイヤー矯正が最も治療効果が高く、安全であることは百も承知です。
患者のことを考えれば、ワイヤー矯正といった最善の策を提案することでしょう。
もし、インビザラインを受けたいと思う人は、治療効果のデメリットを見た目のメリットが上回るのであれば受けてください。私自身は、ワイヤー矯正の方が良いと言うことは現状では言わざる負えません。
海外で作成
また、インビザラインを作成する企業は海外にあります。これも、デメリットの一つです。日本であれば、意思疎通が安易です。何かあれば直ぐに歯科医と担当者、現場が繋がります。
しかし、海外はそうではありません。例えば、日本製の製品であれば企業との意思疎通は安易です。逆に海外製品であれば、容易で無いことは想像がつきます。
装着感
インビザラインは非常に薄く装着していても見た目にはわかりません。
しかし、装着していると多少の違和感があるのは事実です。少しであったとしても、それが24時間毎日となれば辛いのも事実です。
実際に装着時の違和感や圧迫感が嫌で治療を断念する方もいます。これは、実際に経験した本人でないとわからないと思います。しっかりと最後まで治療を受ける覚悟が必要です。
インビザラインは食事や歯磨き以外は一日中装着している必要があります。装着していたり、外していたりすると上手く治療が進まず、治療の完了が遅れるばかりです。途中で治療をやめたとしても、動いた歯は保定する必要が出てきます。歯を動かすのは簡単ですが、その位置に留めて置くのは何倍も難しいため、途中で治療を挫折することがあってはなりません。
医療機関は損をしませんが、患者はリスクを背負うことになります。しっかりとその点も意識するようにしましょう。
部分矯正
インビザラインは部分矯正には適しません。部分的に出っ歯や八重歯、一部だけを矯正することはできません。
あくまでも歯列全体を矯正することを目的としています。そもそも専門医が治療をシュミレーションして、海外で制作するため、細かいプロセスを組み立てていくと、時間と労力が掛かります。このようなケースでは同じマウスピースでもアソアライナーを使用する方が最適です。
但し、アソアライナーにもメリットがあれば、デメリットもあるのでしっかりと見極める必要が出てきます。
アソアライナーについては過去の記事に掲載していますので、参考にしてください。
関連記事:アソアライナーの失敗と出っ歯とデメリット
上下の動き
インビザラインは前後左右への歯の動きは得意ですが、上下の歯の動きは苦手です。これも欠点と言わざる負えません。もちろん対策は考えられており、アタッチメントを使って、上下に力を加えて動かします。
前後左右上下となると非常に複雑な動きのプロセスが必要です。ワイヤー矯正であれば、この点はいとも簡単ですがインビザラインは複雑なプロセスが必要であり、要は治療が面倒であるとも言えます。例えで説明すれば、ワイヤー矯正であれば上下の動きは一直線の道だとします。インビザラインはジグザグの道を進みながら進むようなイメージです。
大きな移動量
インビザラインは大きく歯を移動するのは苦手です。
例えば、抜歯をして歯を動かす必要が出たとします。ワイヤー矯正であれば、移動に時間は長く掛かりません。しかし、インビザラインはかなりの時間を要します。場合によっては、3年4年以上の月日が必要になり、矯正期間が長くなります。
この点からも、重度の歯並びには適しません。
子供の歯列矯正
インビザラインは子供の歯列矯正には適していません。そもそも、子供は顎の成長を伴うため、マウスピースを作成したとしても合わなくなることもあります。無理に顎の成長に逆らうようなことをするのは良くありません。最も、子供の歯が大人の歯に変わるため、治療は予測不可能な状況になります。必ずワイヤー矯正をすることをお勧めします。
また、中学生や高校生で顎の成長や歯の生え変わりのリスクがないとしても、安全性を考えてワイヤーを選択するようにしてください。
子供は24時間装着する意志を保つのは難しいですし、10代であればこれから始まる20代以降の人生を考えれば、ワイヤー矯正を躊躇する意味はないと思います。
体験談
実際に治療を受けた人もいるので体験談を伺うと、治療の最終段階まで到達したものの、少し治す必要が出てきて、最終的にワイヤー矯正と併用した人がいました。ワイヤー矯正の見た目が嫌でインビザラインでの治療を選択したものの、最後は完璧を目指すためにワイヤー矯正に踏み切ったとのことです。
ここまでくれば、後悔しないためにも完璧を目指す方が良いですし、高いお金を払って中途半端は納得できないからでしょう。実際にインビザラインは2年程度でも、最後のワイヤーは半年程度で終わったので、本人にとってはワイヤーを装着している時間が短くて良かったのかもしれません。
但し、ワイヤー矯正の追加料金で別途30万程度掛かったとのことです。
また、インビザラインできれいに歯が並んだとしても窮屈な並び方で、それぞれの歯に圧力が掛かったままの状態になるケースもあります。ワイヤー矯正であれば、微調整を毎回続けていくので、バランスの取れた位置に歯が並び、保定期間を正しく行えば、それ程問題にはなりません。
まとめ
今回はインビザラインのデメリットや失敗の体験談について解説しました。
インビザラインを受けたいと思う人も多いですが、この記事のようなメリットやデメリットがあることを知り、慎重に賢い患者さんになってください。
取材を通じてわかったことは、インビザラインをするのであれば、ある程度完成まで近づけて、最終はワイヤー矯正もすることを想定して置くことです。
インビザラインで全てが完全にいくとも限りません。問題は何か不具合が起きたときや満足いく結果にならなかったとき、不満があるときにワイヤー矯正で対応して貰えるかどうかです。
治療を始める際は、その点はしっかりと歯科医に確認を取って起きましょう。
- もし、最後になってインビザラインの治療が上手く行かなかった場合にワイヤー矯正に変えて貰えるのか?
- その際は追加料金はどれくらい必要かを知って置く必要があります。
また、このような点は柔軟な意思を持った歯科医にする方が良いです。頑固な歯科医は方針を変えない可能性があるためです。
実際の歯科医のアンケートによれば、ワイヤー矯正であれば9割は納得のいく歯列矯正の結果が出ると答えています。
一方、インビザラインに置いては6~7割の結果です。つまり、必然的に10人中3~4人は完璧を目指すのであれば、ワイヤー矯正との併用も必要だと言うことです。
美しい歯並びは人の目を引きますし、魅力的です。誰しもが手に入れたいと思います。そのためにも、しっかりとメリットとデメリットを把握して、失敗しないように最善の方法を選んでください。
歯列矯正により、きれいな歯並びになることを願っています。
*この記事は、日本矯正歯科学会認定医の歯科医師への診察や相談、取材を元に作成しています。但し、医師によって治療や見解は異なることもありますので、参考としてお使いください。