抗不安薬と睡眠薬と気分安定薬の効果と副作用
メンタルヘルスの治療薬の中でも、抗不安薬や睡眠薬は有名で様々な精神疾患に使用されます。取り分け治療の中でもファーストチョイスと呼ばれる薬です。
主な成分は、ベンゾジアゼピンで構成されています。この薬は、脳内のギャバの働きを強めて不安やイライラを収めたり、鎮静する作用があります。とても安全な薬ですが、長期間使用してると依存性や離脱症状も現れますので適切に服用することが大切です。
この記事では、抗不安薬と睡眠薬の効果と副作用を解説するとともに、気分安定薬にも触れたいと思います。
抗不安薬の効果と副作用
不安、緊張、イライラ、抑うつ(気分の落ち込み)といった精神的な症状を改善する薬です。
1961年に発売されて以来、神経症や心身症など、精神治療の主流になりました。
現在では様々な種類の抗不安薬が開発されています。
抗不安薬の効果
- 鎮静作用(気持ちを鎮める)
- 催眠作用
- 筋弛緩作用(筋肉の緊張が解ける)
- 抗けいれん作用(けいれんを抑える)
抗不安薬の種類
抗不安薬は、主に3種類が良く使用されます。
- ベンゾジアゼピン系製剤
- チエノジアゼピン系製剤
- ヒドロキシジン系製剤
主に使用されるのは、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬です。他の薬は、副作用や過敏症で合わない場合に用いられます。
また、ベンゾジアゼピン系製剤には、色々な種類の薬があり、薬の強さ、持続時間、症状、特徴に応じて処方されます。
薬の効き方
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は脳の中でベンゾジアゼピン受容体にくっついて、不安を取り除きます。
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬はベンゾジアゼピン受容体にくっついと、GABAと呼ばれる受容体を介して、様々な神経の機能を抑えるように働きます。
用法と用量
多くの抗不安薬は、服用後30分~1時間で血中濃度がピークに達します。
その後、緩やかに効果が弱まります。そのため、1日3回前後の服用が行われます。
また、状況によっては、不安症状やイライラが出たときに、使用する方法もあります。
抗不安薬の副作用
抗不安薬は、安全性の高い薬です。長期間使用しても、重い副作用は滅多にありません。
また、抗精神病薬と違い、意識や行動をコントールしている脳の部位には直接作用しません。そのため、人格が変わる、意識や行動に異常が出ることはありません。
アルコールと一緒に服用すると、作用が増強されて危険です。お酒と服用しないでください。
大量に服用しても、呼吸困難といった中毒症状が起こることはありません。しかし、自分で服用量を増やしたりせずに、用法や用量は守ってください。また、抗不安薬には薬物依存性があるので、医師の指示に従って正しく使用してください。
抗不安薬の感想
抗不安薬は、様々な種類があります。人によっては、ベンゾジアゼピン系製剤が合う人もいれば、チエノジアゼピン系製剤が合う人もいます。
初めての処方で、症状に合うことは稀です。
一度服用し続けてみて、効果が感じられなければ他の種類に切り替えたりするなど、医師と相談の上で自分に合う抗不安薬を見つけて下さい。
睡眠薬の代謝のされ方
睡眠薬は、どのように代謝されて、作用するのか気になる人もいると思います。
本日は徹底解説します。
まず、睡眠薬を飲むと、胃で消化されます。その後、小腸を通り、ここで吸収されて、血液に入っていきます。
その後、静脈の流れに乗ってグングンと進み、心臓に運ばれて、やがて全身へ行き渡ります。
更に、もう一つポイントがあり、睡眠薬が肝臓にも辿り着くのです。
肝臓にある薬劇物を代謝する酵素で睡眠薬は分解されて、体に作用しないように無害化されます。
その後に薬は便として排泄されて外に出ます。また、腎臓を通って、尿として、外に出されます。
このようにして、睡眠薬は代謝されるのです。
一方、脳では睡眠薬のベンゾジアゼピンやチエノジアゼピンが脳内の薬が結合する場所にくっついて、脳内にあるギャバの働きを強めて、睡眠へと導きます。
脳では、大脳辺縁系(扁桃核、海馬など)や視床下部に作用して、睡眠へと誘います。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は自然の眠りに近い作用のため、繰り返し服用しても、副作用が少ない薬です。
長期間服用しても、普通に寝た場合と睡眠薬で寝た場合において、同等に安全性は高いです。
眠れないで、ストレスを溜めるより、睡眠薬で気持ち良く寝た方が体に取ってはプラスです。
使用上の注意点
睡眠薬や抗不安薬を服用して飲酒をすると、薬の効果が異常に強くなり、めまいなどの副作用が高頻度に発生します。さら、もうろうとして意識を失ったりすることがあるのでしないでください。
気分安定薬の正しい使い方
気分安定薬は、躁・うつの異常に興奮した気分をを安定化させる薬です。
躁うつの改善や再発防止に効果があります。
また、うつ病の再発防止にも処方されることもあります。
気分安定薬では、炭酸リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸などが使われています。中でも、炭酸リチウムは最も使用される薬です。
気分安定薬の効き方
脳内にはギャバとグルタミン酸という物質があります。この2つの物質の働きやバランスが崩れると躁病やうつ病になります。炭酸リチウムやカルバマゼピンには、このバランスを改善する作用があります。
躁病とうつ病を頻繁に繰り返す場合は、炭酸リチウムよりカルバマゼピンが効くとされています。
気分安定薬の副作用
飲み始めに、胃の不快感、吐き気、手のふるえが発生することがあります。しばらく服用を続けていると自然と消えていきます。
但し、手足の強い震え、筋肉の脱力感、せん妄が発生した場合は、直ぐに医師の診察を受けて下さい。
気分安定薬は、血液中の薬の濃度(血中濃度)を定期的に測定しながら、服用量を調整する必要があります。自分で服用量を増やしたり、中断したりせず、必ず医師の処方を守る必要があります。