アシュトンマニュアルでベンゾジアゼピンが断薬できない理由
アシュトンマニュアルとは、ベンゾジアゼピンを断薬するための方法を記載したマニュアルです。
現在服用しているベンゾジアゼピンを一旦セルシンに置き換えて徐々に減薬していく方法です。
しかし、アシュトンマニュアルによって実際に断薬に至った人は、余りにも少ないのが現状です。アシュトンマニュアルの問題点について解説していきます。
ベンゾジアゼピンには依存症や耐性の問題があり、服用し続けると中々やめることができない現実があります。これらは世界共通であり、何らかの断薬方法が必要でした。そんな中、イギリスのヘザー・アシュトン教授が発表したアシュトンマニュアルは全世界に普及しました。
しかし、実際問題この方法でベンゾジアゼピンを断薬された方はあまりいません。アシュトンマニュアルは現在服用しているベンゾジアゼピンを、一旦セルシンに置き換えて数週間ごとに徐々に減量していくという方法です。この方法の問題点は、セルシンを減薬していくと途中で眠れなくなることです。
セルシン自体は半減期が24時間程度であり徐々に体から薬が抜けていくため、禁断症状をなるべく出さないという方法でした。しかし、セルシンが2mm以下になると極端に寝付きが悪くなります。多くの方はこれにより断薬を諦めて、再び元のベンゾジアゼピンを服用するようになります。
内訳を見てみると、3割程度の方は禁断症状によるイライラや不安などによって我慢できなくなります。
残りの7割の方は入眠や中途覚醒が頻発して、程なく断薬や減薬をやめるようです。
ベンゾジアゼピンをやめるに当り、多くの方が困難に直面するのが不眠が強く現れることです。この禁断症状は、どんなベンゾジアゼピンにしても出ますので乗り越える以外にありません。例えアシュトンマニュアルの方法を試みたとしても、不眠の離脱症状は現れます。特にセルシンを減薬していく方法は2ミリ、1ミリ錠に達した時に、急激な不眠が現れ始めて多くの方が断念します。
そもそも、ベンゾジアゼピンは僅かでも服用する限りは不眠や不安、イライラなどの離脱症状は残り続けます。例えセルシンに置換して、徐々に減らしていったとしても簡単にやめることは困難です。セルシンは、半減期が24時間あり最終的に体から抜け切るには長い時間が掛かります。このように、だらだらと長い時間を掛けて薬を抜くよりは、他の薬である程度まで減薬して確実に断薬すべきです。
今後機会を見て、ベンゾジアゼピンの詳しい減薬・断薬方法を紹介していきます。
アシュトンマニュアルでベンゾジアゼピンを減薬・断薬できなかったからといって、落ち込む必要はありません。
そもそも、この方法では減薬・断薬するのには無理があります。
最後になりましたが、そもそもアシュトンマニュアルを否定するつもりはありません。ベンゾジアゼピンの問題提起をされたヘザー・アシュトン教授は、非常に意味のあることだと思います。多くの方がベンゾジアゼピンの依存症や耐性を正しく理解して、断薬に向けた気持ちや考えを持つ上で素晴らしいマニュアルだと思います。
アシュトンマニュアルの批判や信憑性
アシュトンマニュアルは当初こそは、普通の論文に過ぎませんでした。時が経つに従い、多くのベンゾジアゼピン依存に悩む人が注目するようになり、世界中に知られることになりました。
初めの頃は内容に期待して、セルシンを使用して断薬を試す人が増えました。しかし、実際に断薬に至ったケースは余りにも少ないのが現状です。
ベンゾジアゼピンに対する断薬方法としては、効果が低いと言わざる負えません。
アシュトンマニュアルを使用しても殆どの人が途中で挫折します。何故なら、減薬中に全く眠れなくなるためです。
また、この方法で断薬に挑戦する人が多く聞きますが、実際に断薬に至ったケースは皆無です。
批判や信憑性を疑う人も多いですが、それ程ベンゾジアゼピンの断薬や難しいと言うことです。医療機関でも確実な断薬方法は示せていません。
一般的な断薬方法として、薬を四分の一ずつ減らしたり、服用する間隔を空けたりと方法はありますが、効果は低いようです。
しかし、ベンゾジアゼピンは適切な断薬方法を知れば、必ずやめることは可能です。その方法を当サイトにベンゾジアゼピン断薬マニュアルとして、公開していますので活用してください。
人間は本来自然に眠ることは当たり前のことです。その状態をベンゾジアゼピンにより、一時的に失っているだけですので、再度取り戻せば問題はありません。
しっかりと減薬に向けたプロセスを歩みながら、断薬を実行してください。
追記:アシュトンマニュアルの体験談
今回記事の執筆に協力した編集者です。私もアシュトンマニュアルには以前から興味があり、セルシンを使った断薬方法を試してみました。
当初はエバミールを服用していましたので、セルシンに置換して減薬に取り組みました。最終的には2mgまでは減らせたのですが、そこから全然寝付けなくなり、慌ててエバミールに戻しました。
この時の挫折感は凄いものでした。自分は二度とベンゾジアゼピンをやめることはできないのでは無いか・・。
気持ちが幻滅したのを覚えています。しかし、その後はベンゾジアゼピン断薬マニュアルを使用して、完全に薬をやめることに成功しました。
薬をやめる意志も大切ですが、断薬方法も重要だと気付かされました。今では、ベンゾジアゼピンはやめれる薬だと確信しています。
現在の社会にはベンゾジアゼピンが蔓延しており、依存症に苦しむ人は300万人、500万人とも言われています。微力ながらも、その人達の力になれたらと思う次第です。
今回、ベンゾジアゼピン断薬マニュアルを作成するに当たり、ご協力頂いた制作会社や医療関係者様には感謝します。
また、無料で公開できたことには社会に貢献できたと実感しています。
このマニュアルを読まれた方が依存症から回復されることを願っています。